IBMは米国時間10月26日、気象データやソーシャルメディアなどのストリーミングデータから実用的なインサイト(洞察)を引き出すクラウドベースの分析サービス「Insight Cloud Services」を発表した。The Weather CompanyとTwitterと提携し、両社が有するデータもデータソースとして利用する。
収集したストリーミングデータは、コグニティブ技術で分析。小売り、保険、メディア、エンターテイメントなど業界ごとに最適な「知見を得られやすい情報」として提供する。IBMでInformation and Insight as a Service担当ゼネラルマネージャーのJoel Cawley氏は、「Insight Cloud Servicesで顧客は新たな洞察をビジネスプロセスに組み込むことができる」としている。
Insight Cloud Servicesの概要。気象やイベント、ニュース、トレンド、SNSといった雑多なデータを分析し、具体的にアクションが取れるような洞察を提供する
記者向けの説明会でInsight Cloud Servicesを紹介するInformation and Insight as a Service担当ゼネラルマネージャーを務めるJoel Cawley氏
Insight Cloud Servicesのオファリングは、「開発者用IBM Insight API」「気象用IBM Insightデータパッケージ」「IBM業界アナリティクスソリューション」の3種類となっている。
開発者用IBM Insight APIは、同社のオープンスタンダードベースの PaaSである「IBM Bluemix」からアクセスし、The Weather Companyの気象に関する履歴データ、予報データを組み込める。また、Twitterの公開ツイート全体からランダムに10%分をピックアップしたデータである「Twitter Decahose」のほかに「Twitter PowerTrack」のストリームデータをアプリに取り込むことも可能。データは、コグニティブ技術で感情分析され、「利用者が洞察を得られる形に加工した情報」(Cawley氏)であるとのことだ。
気象用IBM Insightデータパッケージでは、The Weather Companyのデータセットを主要な業界別にカスタマイズ分析して提供する。例えば、小売業に対しては天候と来客数の相関関係をあらかじめ分析し、店舗に配置する従業員数や特定商品の調達まで「企業が実際にアクションを起こせるレベルの情報」(The Weather Company担当者)を提供するという。
IBM業界アナリティクスソリューションでは、外部データと組み合わせることで具体的なマーチャンダイジング、需要計画、市場分析が行える情報を提供する。ソリューションの1つである「IBM Demand Insights」では、顧客企業が持つ個々の製品の売り上げデータに気象やイベント、ニュース、トレンド、SNSの書き込みといった150以上の外部データを組み合わせて相関分析。消費者の購買行動に影響を及ぼす要因を具体的に推測できるようにする。
IBMでは「SNSの書き込みを分析すれば、顧客像やその属性が詳らかになる。これにより小売業などは、個々の顧客に最適化されたマーケティングキャンペーンを打ったり、コンテンツや製品の開発を強化したりすることが可能。広告費も最適化できる」としている。