ソフトウェアの品質向上
2015年は、バグの多いアップデートがAppleから複数リリースされたことも印象に残っている。「iOS 9」によって、今まで「ちゃんと動作していた」機器がいらいらするものに変わってしまった(「iOS 9.1」で事態は大きく好転したが)。また、「OS X 10.11 El Capitan」は筆者にとって我慢できないバグがあまりにも多いため、「10.11.2」がリリースされるまでは仕事で使う主力マシンへのインストールを控えているくらいだ。
こうした品質低下の原因が何であるのかは分からない。AppleはいずれのOSでもパブリックベータ版をリリースしていたが、今やパブリックベータはバグの発見や修正のためではなく、マーケティングやプロモーションのためのものと化してしまっている。またiOSや「OS X」はいずれも、リリース日程を遅らせることができない厳しいスケジュールで開発されている。
しかし、バグのあるソフトウェアはバグのあるソフトウェアでしかない。Apple製品に大金を払ったコンシューマーにとって、これほど多くの問題に悩まされるというのは不愉快だろう。Appleがハードウェアを厳格に統制しているという点を考えると、同社はいい加減でやる気のない企業だという印象を抱かせてしまう。
アナリスト/メディア/コンシューマーの期待の誘導
Appleは秘密主義を貫く会社として有名だ。その結果として生み出される情報の真空状態は、ナンセンスなもので満たされることになる。そして、Appleの新製品発表前に飛び交う際限のない憶測やうわさ、興奮、偽の情報によって、実際の発表でもたらされるはずの感動が台無しにされている。
筆者ですらそう感じ、Appleの新製品発表前に飛び交うナンセンスなものの95%には懐疑的な目を向けるようになっている。しかし、発表イベントの場で、「あぁ、これは単なるスマートフォン/タブレット/コンピュータ/スマートウォッチなんだ」という感覚にとらわれ、難病を治したり瞬間移動装置として機能したりはしないことに少し落胆する時があるのだ。
製品発表の前に飛び交ううわさのせいで、一部のアナリストがこういった状態に陥るのは、Appleにとって懸念と言えるはずだ。製品発表前に期待が高められ、実際の製品発表で失望を覚えるというこの繰り返しは、Appleにとって決して良いことではない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。