この記事では、ホワイトハウスが進めるオープンガバメントイニシアチブの元ディレクターであるBeth Noveck氏にインタビューを行い、どうすれば政府が新しいテクノロジを活用して政府内外のさまざまな人材と協力できるかを聞いた。
ホワイトハウスは2009年に、業務の透明性を向上させ、国民との協力関係を促進する取り組みであるオープンガバメントイニシアチブを開始した。このプロジェクトのディレクターを務めたのが、最初の米政府副最高技術責任者(CTO)であるBeth Noveck氏だ。
この記事ではNoveck氏にインタビューを行い、同氏の新著「Smart Citizens, Smarter State: The Technologies of Expertise and the Future of Governing」(スマートシチズン、スマート国家:専門性の技術と行政の将来)にも書かれている同氏の経験について聞いた。この本では、政府をオープン化するプロセスに関する知見や、それが民主主義にとってなぜ必要なのかについて扱っている。
--オープンガバメントイニシアチブを実施したことで、何が起きましたか。その実現は困難なものだったのでしょうか。
この取り組みは、テクノロジを利用して政府の働きを改善することを目標としたものです。政府にテクノロジを導入する取り組みは、古くから行われています。例えばタイプライターの導入は、官僚機構に大きな影響を与えました。しかし、オープンガバメントイニシアチブでは、行政の効率化だけでなく、より効果的で革新的な問題解決のためにテクノロジを必要としていました。
企業は、データをうまく使用して顧客を理解したり、在庫について把握したりしようとしています。データを使って顧客や提供するサービス、そしてそれをどう改善できるかを理解しようとしているのです。
データに関しては、いくつか大きな成功を収めました。それらの取り組みでは、単にデータによって以前と同じことを早くできるようになっただけでなく、質的に物事が変わっています。われわれはデータを集めた者が、常にそのデータをもっとも有効に活用できるわけではないことに気づいて、データを公開し始めました。例えば、政府が病院から院内感染率についてのデータを収集していたとしても、政府だけでそのデータを解釈し、それを利用して院内感染率を低下させる方法を導き出すのがベストであるとは限りません。そのデータを公開すれば、GoogleやBingなどの企業はそのデータを検索エンジンに登録できます。そうすれば、例えば患者が病院や医者や医療施設を検索し、どこで治療を受けるかを決める際に、その情報を活用することができます。この仕事は政府にもできますが、企業が新たなツールを作ったり、消費者がより十分な情報に基づいて選択したりするためにも利用できます。問題解決に参加できるチャンスをもっと作る必要があるのです。
これまでに、コミュニケーションツールは利用できるようになりました。問題は、参加型で協力型の政府を作り、政府の外部にいる知恵を持っている人たちから、賢いアイデアを得ることについては、大きな成功を収められていないということです。なぜできないのか、これを変えるには、テクノロジをどう使うべきかが重要です。
提供:Hiroko Masuike