OneNoteやSkype、Surfaceの教育効果とは:「Education Day」レポート - (page 2)

阿久津良和

2015-12-13 10:00

遠隔交流学習の基盤にSkypeを活用


姫路市立安室小学校の吉田雄一郎氏

 姫路市立安室小学校の吉田雄一郎氏は「Skypeを利用した校外との学びの接続」というテーマで同校の取り組みを発表した。姫路市では2010年から104校の小中学校すべての普通教室に大型ディスプレイや書画カメラ、指導者用PCを設置し、コンピュータ教室には1人1台のPCを用意するなど、以前から学校でのIT環境の整備に注力してきたという。

 さらに2015年度からはOffice 365 Educationや、遠隔交流学習用の機器としてウェブカメラや集音マイクなどを導入。市内すべての公立小中学校で、学校間の遠隔コミュニケーションを可能にした。

 安室小学校では、この遠隔コミュニケーション基盤を活用し、同校の卒業生が青年海外協力隊として在住しているフィジーや、福島県の新地町立駒ケ嶺小学校と遠隔交流学習を行っている。吉田氏は、「児童たちはつながる喜びと関心の高まりを得た。特に異なる学校の児童との交流は、調べ学習に弾みがつき、異なる価値を学ぶことができた」とメリットを説明。一方で、「遠隔交流学習では、つなぐ先との事前の綿密な打ち合わせが欠かせない。その授業で何を学ぶのかを明確にしなければならない」と課題についても言及した。


Skypeを通じてフィジー在住の同校卒業生に質問する生徒たち。一緒に校歌も歌ったという

 ほかにも、市内の中学校教師がSkypeで同校の授業を参観したり、市内の学校同士で同じ調べ学習をした成果を発表し合うなど、学びを深める機会が増えたという。吉田氏は「遠隔交流でしか得られない学びがあり、他校や社会とつながることで子どもたちの世界が広がる」とSkypeを利用した教育ITの利点を強調していた。

Surfaceを使った「論理的思考力」育成の取り組み


つくば市教育局 総合教育研究所 副所長の毛利靖氏

 つくば市教育局 総合教育研究所 副所長の毛利靖氏は「SurfaceとOffice 365を活用した論理的思考力の学習」というテーマで、つくば市立春日学園のIT活用の現状を説明した。300もの研究機関を抱える同市で2012年に開校した同校は、「教育日本一」を目指して、教育現場での先進的なITの活用や、21世紀型スキルの育成を行っている。具体的には「つくばスタイル科」という教科にタブレットを導入し、さまざまな授業に活用していると毛利氏は説明した。

 例えば、同校では従来から修学旅行にタブレットを携帯して写真撮影などを行い、その結果をグループごとに発表していた。2013年秋にSurfaceを導入したことから、授業の幅が広がったという。また、最近はSwayを使ったプレゼンテーション作成を実践する機会が増えたそうだ。

 同校では理論的思考力を育成するため、月1回の特別授業を設けている。この授業では、魚の骨の部分に自身の考えを書き込むことで思考を整理するボーン図など、思考ツールとしてSurfaceを用いているそうだ。毛利氏は「(Surfaceなどのデジタルツールを)実際に手にすることで、子どもたちにさまざまなアイディアがわいてくる。場面に応じて、デジタルツールを主体的に選択できる能力を身に着けてほしい」と教育ITの展望を語った。


ベン図をさらに拡張したトリプルベン図で意見の視覚化を行うつくば学園の生徒たち

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