AOSデータ、マイナンバー漏洩対策ソフト提供--PC内の個人情報を検査、消去

大河原克行

2016-01-30 08:00

 AOSデータは1月29日、マイナンバー漏えい対策ソフトウェア「マイナンバーファインダー」を発表した。2月24日から発売する。製品はUSBメモリで提供。税別価格は、20ライセンスで1年間9万8000円。

 マイナンバーファインダーは、同社が持つフォレンジック技術をベースに開発したマイナンバーの定期検査ツールであり、PC内に格納された個人情報を検査し、個人情報を暗号化したり、不要なデータを消去したりできる。

 施行されているマイナンバー制度は、管理義務を厳格に定めており、正当な理由ないままマイナンバーを含む個人情報を漏えいさせた場合、最悪4年以下の懲役や200万円以下の罰金を科せられる場合もある。今回のツールは、同制度の厳格な管理義務を支援し、個人情報を適切に管理するためのツールと位置付けている。

AOSリーガルテック 代表取締役社長 佐々木隆仁氏
AOSリーガルテック 代表取締役社長 佐々木隆仁氏

 開発したAOSリーガルテック代表取締役社長の佐々木隆仁氏は、「マイナンバー制度は、行政サービスの効率化を図るほか、IT活用力を高められるなど、素晴らしい仕組みであると考えているが、『歩めば土つく』ということわざがあるように、この制度を推進するのに従い、土や泥がついてしまうようなリスクも考えられる」と説明した。

 佐々木氏は続けて「米国では560万人の指紋データが流出。韓国では延べ1億人を超える個人情報が流出し、1件40円程度で売買するといった動きもある。この制度を利用して走っていく際に、足についた土や泥を拭いていくための仕組みが必要である。その役割を担っていくのが当社になる」と比喩した。

 「マイナンバーファインダーは、PCに残っている不要なマイナンバーを検出し、完全に削除。必要なマイナンバーの場合には、暗号化でき、安全な運用ができる」(佐々木氏)

 マイナンバーファインダーを格納したUSBメモリをPCに接続するだけで、PC全体の中から個人番号や法人番号のほか、個人番号が記載された支払調書や源泉徴収票などの個人情報を検出、削除、暗号化できるのが特徴。文書や電子メール、圧縮ファイルなど39種類のファイルが検査対象となり、マイナンバーやクレジットカード番号、携帯電話番号など10種類の個人情報標準検査パターンを持つ。対象ファイルや検査パターンは、ユーザーが独自に設定し、増やすことができる。

マイナンバーファインダー
マイナンバーファインダー

 特定のドライブのみを選択して、個人情報を検査するドライブ別検査、ドキュメントファイルを別の拡張子に変更して、ドキュメントではないように見えるようにしたファイルを検出する拡張子改ざん調査、削除されたファイルを表示する削除ファイル検査、ゴミ箱から不完全に削除されているファイルの完全削除を実行する空きスペース削除、使用しているPCのセキュリティ上の問題を分析するPCセキュリティ検査に加え、検査した項目のレポートを作成する機能も持つ。詳細レポートの場合には、500Gバイトのストレージに対して、800枚程度のレポートを作成するという。

 削除機能では、フォレンジック調査技術を活用しており、個人情報ファイル削除機能では、ドライブ単位やファイル単位でデータを完全に削除できる。暗号化機能では、AES暗号でファイルの暗号化と複号化ができる。PCセキュリティ検査機能では、Windows Updateの更新状況、Windowsファイアウォールの利用状況のほか、フォレンジック調査技術を活用することでUSBポートの使用履歴も確認できる。

三重に暗号化

 さらに同社では、マイナンバーファインダーと、同社の他製品とを組み合わせることで、マイナンバーの収集、保管、利用、廃棄といったトータルソリューションも提案する考えを示した。

 マイナンバーの収集では、企業用メッセンジャー「InCircle」を活用。企業、学校、官公庁などを対象にした限定メンバー向けのセキュアメッセンジャーアプリの特徴を生かして、セキュアなチャット環境を利用して、マイナンバーを安全に取得できるという。ここでは、マイナンバーのメール送信を証明する「i証明サービス」も活用できる。

 「昨今では、LINEからの情報漏洩が話題となっているが、InCircleでは専用のトークルームを作成して、安全にデータを収集できる。また、i証明サービスでは、送信した日時などを証明でき、裁判の際には、法廷に提出できる証拠としても活用できる」(佐々木氏)

 保管については、クラウドサービスである「AOSBOX Business」で社員から収集したマイナンバーを暗号化して、クラウド上に安全に保管。廃棄では、「電子データシュレッダー」を活用して、不要になったデータを完全削除。マイナンバー法の廃棄義務の遵守に活用できるという。

 「AOSBOX Businessでは、PC上でのデータの暗号化、通信経路での暗号化、サーバ上でのデータの暗号化という、3重の暗号化でマイナンバーを安全に保管。情報を共有する場合には、マイナンバーをパスワードロックによって、安全な運用ができる」(佐々木氏)

マイナンバーファインダーでマイナンバーを検出しているところ

マイナンバーファインダーでマイナンバーを検出しているところ

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