いまから始めるマイナンバー対応

中小企業のマイナンバー対策--外部委託の選択肢を整理する

中尾健一

2015-12-09 07:00

 前回は、外部委託する場合の2つの選択肢のうち、税理士や社会保険労務士への委託、特に法人関与率の高い税理士への委託するケースの課題を中心にみてきました。

 今回は外部の民間業者への委託についてみていくとともに、ここまでみてきた外部委託の2つの選択肢について、中小企業にとって何が課題になるのかなどを整理します。

外部の民間業者への委託を考える

 多くのITベンダーがマイナンバー管理サービスとして提供しているサービスは、クラウドでのマイナンバー保管が基本です。中小企業にとっては、マイナンバーの保管を外部に委託するだけでも、社内でマイナンバーを管理する場合に比べて、安全管理措置のための手間やコストを軽減できます。

 ただし、外部でのマイナンバー保管のために、マイナンバーの収集や利用、提出で手間がかかるようでは安全管理面でのメリットも相殺されてしまいます。ITベンダーの提供するマイナンバー管理サービスを利用する場合のチェックポイントを、収集から利用、提出までのプロセスでみていきましょう。

クラウドサービスならマイナンバーの収集から対応

 クラウドサービスとして提供されるマイナンバー管理サービスでは、サービス内容を「収集/保管サービス」とするものが多くあります。

 この収集サービスは、従業員が本人および扶養親族のマイナンバーをスマートフォンやPCから入力できる仕組みを提供することで実現されます。支払調書で必要となる支払先の個人事業主のマイナンバーについても同様の仕組みを提供できますので、企業の担当者が紙ベースでマイナンバーを収集しシステムに入力する手間を省くことができます。

 この収集の仕組みの具体的な運用手順は以下のようになります。

  1. 企業の担当者が従業員や扶養親族の情報、支払先の情報をマイナンバー管理サービスに入力またはCSVなどで取り込み登録します
  2. 従業員や支払先にマイナンバー管理サービスにアクセスできるID/パスワードを発行し、メールなどでサービスへのログイン画面のURLとともに通知します
  3. 従業員や支払先はスマートフォンなどでマイナンバー管理サービスへアクセスし、通知されたID/パスワードでログインして、マイナンバーを入力し、通知カードや運転免許証などの本人確認書類も撮影、画像データとしてアップロードします
  4. 企業の担当者が、マイナンバー管理システムの管理画面で従業員等の入力状況を確認するとともに、本人確認書類の画像データにより「本人確認」し、収集作業が完了します

 クラウドのマイナンバー管理サービスでは、このようにマイナンバーの持ち主本人が入力する仕組みを提供することで、サービス内容を保管のみでなく収集も含めて「収集/保管サービス」としています。

 また、マイナンバーの収集のみでみていくと、従業員などから書面でマイナンバーおよび本人確認書類を郵送で集め入力代行するサービスもあります。上記のようなクラウドの「収集/保管サービス」を補完するサービスとして提供されるものもあれば、入力代行を主なサービスとして提供するものもあります。

 後者の場合は、代行して入力したデータを企業に渡し、企業が自らのマイナンバー管理システムに取り込むことができるといった運用形態も想定されています。

 中小企業としては、自社の負担をできるだけ軽減するために外部委託を考えるのであれば、クラウドの「収集/保管サービス」の利用を前提とし、従業員などで本人の入力が困難な場合に、入力代行を使う形式を考えるのが筆者はベターな選択だと考えます。

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