いまから始めるマイナンバー対応

中小企業のマイナンバー対策--外部委託の選択肢を整理する - (page 2)

中尾健一 2015年12月09日 07時00分

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クラウドでマイナンバー保管 「持たない」管理を実現

 クラウドで提供されるマイナンバー管理サービスでは、収集されたマイナンバーはクラウド上のデータセンターで保管されます。一般的にクラウドのデータセンターでは地震対策、停電対策、防火対策などに加えてセキュリティ対策として24時間365日有人監視で入退室管理など、中小企業が自社でセキュリティ対策する場合に比べて、より安全な環境でマイナンバーを管理することができます。

 マイナンバーを自社内に「持たずに管理」できることにより、マイナンバーデータなどを取り扱う情報システムを管理する区域(管理区域)に対する物理的安全管理措置(ガイドラインでは鍵のかかる部屋で管理し入退室管理を実施すること、盗難防止のためにセキュリティワイヤで固定することなどが例示されています)は、マイナンバーの保管という面だけでみていけば必要なくなってきます。中小企業にとって、その分安全管理措置にかけるコストや手間を軽減することができます。

 従業員などのマイナンバーは実際に利用する機会が年に数回しかないとしても、実務上保管し続けることになりますので、クラウドで安全に「持たずに管理」できることで、中小企業にとっては、より安心して本業に専念できる環境となります。

マイナンバーの利用、提出 どこまでできるかはサービス次第

 民間業者が提供するクラウドの「マイナンバー収集/保管サービス」は、企業から委託されてマイナンバーの収集や保管を行いますが、マイナンバーの利用、たとえば2016年分の給与所得の源泉徴収票を作成するような業務まで委託できるサービスではありません。

 そのため、マイナンバーの利用・提出は中小企業が行う業務となり、「マイナンバー収集/保管サービス」とどのように連携できるかが、利用時や提出時にとるべき安全管理措置の内容に関連していきます。

同じITベンダーのシステムを利用する場合

 クラウドの「マイナンバー収集/保管サービス」を提供するITベンダーでは、ほとんどのベンダーが給与計算から年末調整までを担えるシステムも提供しています。これらのシステムが「マイナンバー収集/保管サービス」と同様にクラウドで提供されていれば、マイナンバーを事業所内のPCなどに登録することなく源泉徴収票などを作成できますので、PC画面上でマイナンバーを確認するような作業をする場合のみ安全管理に配慮して覗き見できないようにするなどの措置を講じておけばよいことになります。

 ただし、ベンダーから提供されるシステムがオンプレミスの場合は、源泉徴収票作成時などにマイナンバーをいったん事業所内のPCに取り込み処理をすることになり、処理中のPCを「守る」ための安全管理措置を講じる必要があります。また、処理後はPC内にマイナンバーが残らないようにシステムが作られているかをチェックしておく必要があります。仮に処理後もマイナンバーが残るようになっている場合は、PC内からマイナンバーを削除できる機能が用意されているかどうかもチェックが必要です。

 また、年末調整業務で作成する源泉徴収票のほかに「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」や「不動産の使用料等の支払調書」などの法定調書も作成できるシステムかということもチェックしておく必要があります。できれば、クラウドの「マイナンバー収集/保管サービス」と連携して、これら法定調書の作成まで対応しているクラウドのシステムがあれば、マイナンバーを「持たずに管理」したまま利用までできることになりますので、こうしたサービスを選択したいものです。

異なるITベンダーのシステムを利用する場合

 クラウドの「マイナンバー収集・保管サービス」を利用しつつ、年末調整や法定調書作成は今まで利用してきた別のITベンダーのシステムを利用する場合、クラウドで保管されているマイナンバーをCSV出力などで取り出して、利用システムに取り込むことになります。

 利用システムがオンプレミスであれ、クラウドであれ、いったんは事業所内のPCにCSV出力されたマイナンバーを登録して利用することになり、一時的にPCに登録されたマイナンバーを「守る」ための安全管理措置が必要となります。また、利用システムへの取り込みが終わったら、すみやかにマイナンバーのCSVファイルを削除するなどの配慮も必要となります。

 特に利用システムがオンプレミスの場合は、さらに前項でみたような注意を払う必要があります。

もうひとつのチェックポイント--提出は電子で行えるか

 本人交付の源泉徴収票にはマイナンバーの記載が不要となりましたので、マイナンバーを記載しなければならないのは、行政機関に提出するために作成する源泉徴収票など法定調書や給与支払報告書などに限定されます。

 これらを紙で提出するとなると、これらの書類の印刷時や提出のために郵送または窓口まで持ち運ぶ際に、紛失や漏えいのリスクに対応した安全管理措置が必要となります。源泉徴収票など法定調書や給与支払報告書の提出が電子申告/申請できれば、紙で提出する場合に比べて、紛失や漏えいのリスクを大幅に軽減可能です。

 クラウドの「マイナンバー収集/保管サービス」を提供するITベンダーが提供する源泉徴収票など法定調書作成システムを利用する場合でも、別なITベンダーのシステムを利用する場合でも、源泉徴収票など法定調書や給与支払報告書などの電子申告・申請まで対応しているシステムを選択することが提出に関してはベストの選択ということになります。

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