IBMは米国時間2月22日、VMwareと戦略的提携を結び、ハイブリッドデータセンターにおけるIBMのクラウド製品の統合を容易にすると発表した。またIBMは同日、Appleによってオープンソース化されたプログラミング言語「Swift」を、同社クラウドで利用可能にしたことも発表した。
これらの発表は、同社がラスベガスで21日から開催中の「InterConnect 2016」で行われた。IBMは、同社のPaaSである「IBM Bluemix」および、「Watson」を用いたクラウドサービスのエコシステムを拡張していこうとしている。またIBMは、同社の他のソフトウェア(例えば「IBM WebSphere」)のクラウド配備を進めるとともに、ハイブリッドインフラとの接続を容易にしようともしている。
今回発表された主な内容を以下に挙げる。
- VMwareとの戦略的提携:これにより、IBMのクラウドサービス上での仮想ワークロードの相互運用が可能になる。両社はハイブリッドクラウド向けのソフトウェアやサービスを共同で開発、販売していく。VMwareのソフトウェア定義データセンター(SDDC)製品は既にパブリッククラウドサービスに接続可能となっているものの、IBMでクラウド分野における開発者向けサービスの責任者を務めるAdam Gunther氏によると、今回の提携は両社が同じテクノロジを共同開発、使用するところに意義があるのだという。
- Swiftランタイムのプレビュー版と「Swift Package Catalog」のリリース:これにより、開発者が企業向けアプリを作成できるようになる。AppleはSwiftを主にフロントエンドのプログラミング言語として使用しているが、IBMはサーバサイドでも使用していく。
- 「WebSphere Cloud Connect」のリリース:これにより、企業に普及しているWebSphereと同社のクラウドプラットフォームの接続が実現されるため、既存顧客はトランザクション処理をWebSphere経由で容易にクラウド上に移行できるようになる。また、AppleとIBMの提携によって開発された「IBM MobileFirst for iOS」の「Expert Tech」(通信業向け)アプリは、12のバックエンドシステムにアクセスできるようになる。さらに「DB2」や「z/OS」「WebSphere MQ」をはじめとするさまざまAPIも同社のクラウドに接続できるようになる。
- 文字や話し言葉から感情を認識するAPIの拡張:「Emotion Analysis」と「Visual Recognition」というWatson向けの2つのAPIをリリースする。これらのAPIは現在ベータ版だ。
- 「IBM Bluemix OpenWhisk」のリリース:OpenWhiskは、アプリ開発を簡素化するイベント駆動型の新しいプラットフォームだ。OpenWhiskはハイブリッドクラウドの配備のためのテクノロジとしてオープンソース化される。
今回の提携により、VMwareのSDDCアーキテクチャがIBMのクラウド上で利用可能になる。VMwareの製品は世界各地に広がるIBMの45のデータセンターで統合される。例を挙げると、VMwareの「vRealize Automation」や「vCenter」管理ツールではIBMのクラウドをローカルのデータセンターの一部として取り扱えるようになる。両社は共通の顧客に向けて協力して販売活動を行うことになる。
両社の提携は、DellとEMCの合併を考えると興味深い。DellとEMCは合併により、現在のIBMのような大規模企業となる。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。