ローエンドストレージ市場で鍵を握るチャネルパートナーの存在--IDC

NO BUDGET

2016-02-23 12:34

 IDC Japanは2月22日、国内外付型エンタープライズストレージシステム市場において、2015年上半期に当たる1月~6月の実績に基づき、500万円未満の「ローエンドストレージシステム」市場の分析結果を発表した。200万~500万円未満の価格帯で売り上げを伸ばしているベンダーや、間接販売市場におけるチャネルパートナーとの協業で成功しているベンダーが、全体のシェアを伸ばしていることが分かった。

国内外付型ローエンドストレージシステム出荷金額(Vendor Revenue)シェア、2015年上半期(IDC提供)
国内外付型ローエンドストレージシステム出荷金額(Vendor Revenue)シェア
2015年上半期(IDC提供)

 IDCは、外付型エンタープライズストレージシステム市場を、システム価格に応じて、3000万円以上をハイエンド、500万~3000万円未満をミッドレンジ、500万円未満をローエンドとして分類している。

 ローエンド市場の売上額は、前年同期比5.4%増の340億1800万円、出荷容量は23.5%増の452.5PB(ペタバイト)、出荷台数は1.4%増の1万4777台だった。同期の国内エンタープライズストレージシステム市場全体に占めるローエンドストレージの構成比は、売上高が32.6%、出荷容量が55.9%、出荷台数が82.3%だった。

 ローエンド市場をさらに分類すると、200万円未満の市場が35.7%、200万~500万円未満が64.3%となった。200万円未満の市場は2半期連続でマイナス成長となった一方、200万~500万円未満の市場は6半期連続のプラス成長となっている。

 200万円未満の市場は「同一ブランドのx86サーバ+ローエンドストレージシステム」という形態で販売される比率が圧倒的に高い市場であり、2015年上半期はIBMがx86サーバ事業をレノボに売却するなど市場構造の変動が影響して、マイナス成長となったとIDCは分析する。

 一方、200万~500万円未満の市場では、サーバ仮想化環境における需要が拡大しているほか、マルチプロトコル対応やストレージ仮想化機能を搭載しFC-SAN、スケールアウトやバックアップ特化型のNASなど特徴的な機能を持った製品が需要を伸ばした。

 また、ローエンド市場はチャネルパートナーによる間接販売比率が高いことも特徴。2015年上半期のローエンド市場における間接販売の構成比は66.9%に達した。ローエンド市場で成長を継続しているベンダーは、直販から間接販売への事業シフトを進めるだけではなく、チャネルパートナーが販売しやすい仕組みづくりを進めるなど、チャネルパートナーとの協業で成功してる。

 一方、2015年上半期の国内ローエンドストレージシステム出荷金額は325億5500万円となった。ベンダー別にみると、シェア上位5社は、第1位から25.8%の富士通で、15.8%のEMC、11.7%のNEC、7.5%の日本HP、6.6%のネットアップと続く。IDCでは外付型ストレージシステムの市場規模の算出に、ベンダー出荷金額にチャネルマージンを加えた売上額を採用しているため、2つの数値の間に差が出る結果となる。

 同社では「ストレージベンダーがローエンドストレージシステム市場で成長を達成するためには、製品の拡充と機能強化にとどまらず、チャネルパートナーとの協業を含めた販売戦略の強化や見直しが重要になる」と分析している。

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