フルキャストホールディングスは、新たに立ち上げた「マイナンバー収集・管理代行サービス」におけるセキュリティ強化の一環として、自社ウェブサイトのセキュリティのさらなる強化に向けWeb Application Firewall(WAF)機能を備えたセキュリティソフトウェアを導入した。
これにより、ウェブサイトに対する外部からのアクセスパターンを可視化することで、クロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃に対する迅速な対応が可能になった。ソリューションを提供したF5ネットワークスジャパンが3月15日にユーザー事例として公表した。
フルキャスト データセンタ ネットワーク構成イメージ図(F5提供)
フルキャストでは以前から、「キャストポータル」を安全に運営するため、セキュリティ機能の強化と大量アクセスの安定処理に向けた取り組みを継続的に実施してきた。2014年9月には、F5の「BIG-IP 2000s」を冗長構成で導入し、負荷分散などに対応している。
今回のマイナンバー収集、管理代行サービスを開始すれば、不正アクセスなどの被害を受けるリスクがより高くなる懸念があった。この課題に対応するため、さらなるセキュリティ強化の方法を求めていた。
- TechRepublic
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そこでWAFに着目した。WAFであれば、XSSやレイヤ7への複雑なDDoS攻撃なども防御しやすくなることなどを評価したという。当初はクラウド型のWAFサービス導入を検討していたが、SSL証明書の実装などで予想以上のコストがかかることが判明。次に「F5 BIG-IP Application Security Manager(ASM)」を検討、コストを大幅に削減できることが分かって導入を決めた。
開発メーカーであるF5の知識やスキルを活用し、BIG-IP ASMの短期導入を実現している。
BIG-IP ASMの導入により、フルキャストではこれまで見えていなかったセキュリティ脅威の可視化が容易になったとしている。例えばXSS攻撃を可視化していることで、フルキャストはこの種の攻撃を迅速に発見し、ASMでシグネチャをチューニングすることで、ウェブサイトに対する攻撃を防御している。
また、ASMによるセキュリティ強化が、攻撃者への心理的なけん制をもたらし、抑止力につながることも期待しているという。同社では、今後のウェブサイトのセキュリティ強化の一環として、SSLの活用領域を拡大することも検討。SSL活用を効率的に実施するために、BIG-IPによるSSLインスペクション機能の利用も視野に入れている。