Linuxの人気ディストリビューションの1つである「Linux Mint」のウェブサイトが改ざんされ、同ディストリビューションのダウンロードリンクが、バックドアを追加した「改変版」のリンクへと書き換えられていたという。
ウェブサイトの改ざんについては、問題の発覚直後である2月21日に、Linux Mintのブログで発表された。
Linux Mintプロジェクトを率いるClement Lefebvre氏は同ブログで、状況について説明している。なお、Linux Mintは「Ubuntu」と「Fedora」に次いで普及しているLinuxだとされている。
Lefebvre氏によると「ハッカーは、バックドアを仕掛けた改変版のLinux MintのISOファイルを作成したうえで、われわれのウェブサイトを改ざんし、そのファイルを参照するよう仕向けた」という。
同氏は「われわれの知る限り、改変されたエディションは『Linux Mint 17.3 Cinnamon』のみだ」「他のリリースや、他のエディションをダウンロードしていたユーザーに影響はない。また、BitTorrent経由で、あるいはURLを直接入力してダウンロードした場合も影響はない」と述べている。
同氏によると、改変されたISOファイルは20日にダウンロードされたもののみだという。
この発表からほどなくして、同プロジェクトのウェブサイトはオフラインとなった。
Lefebvre氏によると、ハッカーによって改変されたイメージファイル(Linux OSのインストールに使用される)は、ブルガリアのサーバでホストされていたという。The Interceptのセキュリティ技術者であり、記者でもあるMicah Lee氏は、より詳しい情報を自らのブログに投稿しており、ハッカーはボットネットを構築するための「Tsunami」と呼ばれるマルウェアをディスクイメージに組み込んだと述べている。Tsunamiを用いることで攻撃者は、遠隔地から感染したマシンにアクセスできるようになる。
Lefebvre氏は、今回のバックドアは「absentvodka.com」というサイトに接続されるようになっていると述べている。なお、このサイトは本記事執筆時点ではオンラインになっていないようだ。
今回のセキュリティ侵害では、Linux Mintのウェブサイトとフォーラムが被害に遭ったと考えられている。