慶應義塾大学SFC研究所データビジネス創造・ラボと日本マイクロソフトは3月26日、「第4回 データビジネス創造コンテスト」の最終プレゼンテーション発表会を開催した。
同コンテストは、さまざまなオープンデータと各協力企業が提供するデータソースを活用し、全国の高校から大学院までの学生たちが、ビジネス創造力とデータ分析力を競い合うというもの。慶應義塾大学SFC研究所データビジネス創造・ラボが主催して年1回実施されており、第4回目となる今回は日本マイクロソフトが共催した。

最終プレゼンテーションには、60校95チームから選ばれた9チームが参加。高校生4チーム、大学生・大学院生5チームが、「データと創造力で子育てに笑顔を!」をテーマに、データ分析から導き出されたビジネスアイデアを競った。最終審査では、着眼力・発見力・理解力・分析力・想像力の5つに加え、課題解決するためのチーム編成を問う「巻込力」、アイデアを具現化するための「技術力」の計7項目について、18人の審査員が評価した。

開会の辞を述べた日本マイクロソフトの大谷健氏
開会の辞を述べた日本マイクロソフト サーバープラットフォームビジネス部 クラウドアプリケーションビジネス部 エグゼクティブプロダクトマネージャーの大谷健氏は、「データの力を使ってビジネスや社会の課題を解決する時代ながらも、その人材が足りない。学生のうちにデータビジネスについて学ぶことが大切だ」と同コンテストの趣旨を説明した。
裕福な高齢層が育児家庭を資金援助する仕組みを提案
審査員特別賞は、捜真女学校など4人の高校生で構成された「J-girls」。妊娠出産口コミ情報サイト「コンビタウン」の2010年アンケート情報をもとに、子育てが辛いと感じる母親が88%にもおよぶことを提示し、「子どもたちを差別せず教育費もかからず少子化対策もできるビジネス」を提案した。データ分析から導き出した「人と人とのつながり」「養育費の削減」「障害児差別撤廃」「待機児童対策」「仕事と子育ての両立」を実現する仕組みとして、(1)子育て経験のある専業主婦を活用した育児ママ制度、(2)裕福な老人層が資金援助を行い、25年後に援助を受けた子どもが就職した企業のサービスを低価格で提供する恩返し制度、(3)保育園と学童保育の終業時間差から生まれる送り迎えの問題を埋めるための改善--を提案した。

J-girlsは元気なプレゼンテーションで審査員特別賞を受賞
総務省 統計情報戦略推進官 須江雅彦氏は、J-girlsの元気で明るいプレゼンテーションとデータを素直に読み取る姿勢を評価しつつ、多様なデータ分析方法の活用を提案した。受賞したJ-girlsのメンバーは、プレゼンテーションに寸劇を交えた理由として「自分たちが考えたビジネスを多くの人に伝えたかった」、「初めてデータ分析にチャレンジしたが、意外と簡単で楽しめた。その楽しさがそのまま寸劇というプレゼンテーションになった」と感想を述べた。