Mellanox Technologiesの日本法人であるメラノックステクノロジーズジャパンは4月7日、LinuxベースのネットワークOS「Cumulus Linux」を搭載したネットワークスイッチ「SNシリーズ」を4月末に販売開始すると発表した。同一のハードウェアで、独自OS「MLNX-OS」とCumulus Linuxを用途にあわせて選べるようになった。
SNシリーズは、汎用ハードウェアと汎用ソフトウェアを組み合わせたネットワークスイッチ製品。汎用技術で作られたネットワークスイッチ用のハードウェア(ベアメタルスイッチ、ホワイトボックススイッチ)の上で汎用ネットワークOSであるCumulus Linuxを動作させている。
Mellanox SNシリーズの概要。ベアメタルスイッチであり、Cumulus Linuxを搭載している
搭載するCumulus Linuxは、Cumulus Networks(日本法人はキュムラスネットワークス)がDebian Linuxをベースに開発したベアメタルスイッチ向けのOS。カーネル層でL2/L3のネットワーク機能を提供し、ユーザーアプリケーション層で、より高度なネットワーク制御機能、必要に応じてソフトウェア制御ネットワーク(SDN)コントローラやクラウド運用ソフトウェアなどが動作する。
独自OSのMLNX-OSは、Cisco IOSに似たCLI(コマンドラインインターフェース)を持っており、Cisco IOSの操作に慣れた管理者にとって使いやすい。ただし、ルーティングプロトコルのBGP(Border Gateway Protocol)のほかにIPv6対応といったL3の技術のキャッチアップが遅くなりがちだったという。Cumulus LinuxならL3の技術も短期にカバーできる。MLNX-OSはサーバ間接続やストレージ接続などのエッジ用途に、Cumulus LinuxはL3のコアネットワーク用途に向くとしている。
Mellanox Technologies ワールドワイドセールス担当シニアバイスプレジデント Marc Sultzbaugh氏
メラノックステクノロジーズジャパン ジェネラルマネージャ 津村英樹氏
ハードとOSを自由に組み合わせてサポートを統合
「ハードとソフトを単一のベンダーが供給すると、ベンダーにロックインされてしまう。ハードとソフトを自由に組み合わせられることが大切」。Mellanox Technologiesでワールドワイドセールス担当シニアバイスプレジデントを務めるMarc Sultzbaugh氏は、汎用OSを動作させられるベアメタルスイッチの意義をこう説明する。
他のベアメタルスイッチとの違いは最初からOSを搭載済みの製品であるとメラノックステクノロジーズジャパンでジェネラルマネージャを務める津村英樹氏が説明する。
「SIベンダーやユーザー企業はこれまで、台湾のODM(相手先ブランドでの設計製造)ベンダーが提供するスイッチハードウェアとCumulus Linuxを別々に調達していた。メーカーサポートが別々だった。SNシリーズでは、ハードとCumulus Linuxが一緒になった単一製品なのでMellanox Technologies単体でサポートできる」(津村氏)
「BroadcomのASICよりも高性能」
ハードウェアの特徴は「Mellanox Spectrum」と呼ぶ、同社が開発したネットワーク処理用特定用途向けIC(ASIC)を搭載していること。津村氏によると、ネットワーク処理用ASICとして広く使われているBroadcomの「Tomahawk」(100GbE用)や「Trident-II」(10GbE用)よりも高性能であるという。
津村氏は、第三者検証機関であるThe Tolly Groupによる検証結果を示した。これによると、SpectrumはTomahawkよりもパケットロスが発生しにくいという。さらに、Tomahawkとは異なり、全ポートに均一に転送性能が割り当てられるので、性能を予測しやすいという。
SNシリーズは3つのモデルで構成。「SN2700」は、100GbE×32ポート。「SN2410」は、25GbE×48ポートとアップリンク用の100GbE×8ポート。「SN2100」は、100GbE×16ポート。