6月24日に開催された「Nikkei FinTech Conference 2016」において、スタートアップ企業のFinTech関連技術や製品、サービスを表彰する「Nikkei FinTech Startups Awards」が行われた。審査委員長を早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏が、モデレーターをトーマツベンチャーサポートの大平貴久氏が務めた。
Nikkei FinTech Startups Awardsの表彰式
1位に輝いたのは、HUGSがカンボジアで提供している農家支援サービスの「AGRIBUDDY」だ。同サービスは、担保を持たない農家を与信して「この農家はまじめでこれくらい稼げるはずなので1000ドルまで貸しても大丈夫」と行った具合に銀行に信用情報を開示するというもの。貸し出しを行った銀行に対して、HUGSがその金額を保証する。
HUGSの北浦健伍CEOはサービスを始めた背景について「カンボジアの農家は肥料や農薬などの資材を買いたくてもお金がないため、無担保で借りられる高利貸に行ってしまう。この流れを止め、カンボジアの農家を発展させたいと考えた」と説明した。
審査委員からは「カンボジアの農業が変わって行くのが目に見えるようだった」、「日本の国際貢献はこういうところからやらなくてはいけない」といった評価の声が上がった。
2位は物価指数「日経CPINow(日経ナウキャスト日次物価指数)」を配信しているナウキャストだった。日銀物価指数はデータの算出・配信までに1カ月半を要しているのに対し、日経CPINowは2日でデータを算出できるという。
ナウキャストは物価指数算出のノウハウをもとに、7月から地域それぞれの物価指数を算出する新サービスを開始する。同社の今井聡代表取締役兼CTOは「地方創生のための意思決定を支援したい」とサービスの狙いを説明した。
審査委員は「地方創生にも関係するし、将来的な発展も見込める。社会的な意義が大きい」と評した。
3位になったのは、仮想通貨取引所システムを提供しているQUOINE。毎秒100万件のトランザクションに対応することや、流動性の高い取り引きができることが特徴だ。審査委員は「取引高の実績や、いろいろな仮想通貨を組み合わせたことによる流動性の作り方が素晴らしい」と語った。
このほか特別奨励賞をグラコネが受賞した。同社はビットコインを利用して、海外送金の手数料がかからない寄付サービスを提供している。審査委員は「社会的意義が大きい」と評価した。