プログラミングに関するコミュニティーであるStack Overflowは最近、開発者を対象とした2016年版の調査結果を発表した。この調査には5万6000人以上の開発者が参加し、よく使うプログラミング言語から、犬と猫のどちらが好きかまで、極めて幅広い45の質問に回答した。
本調査には173カ国の開発者が参加しており、サンプル数も大きいことから、ある程度の客観性があると考えられるものの、調査としてはいくつかの課題を抱えている。例えばStack Overflowは、「この調査では、英語が話せない開発者や、英語での調査を受けることを好まない開発者が排除されている傾向にある」と述べている。
このように潜在的な偏りはあると見られるものの、多くの企業は、この調査から自社で雇用している開発者について多くのことを学べるはずだ。まず、回答者の属性について見てみよう。
調査結果では18種類の職種が示されているが、そのうち上位5つは次のようになっている。
- フルスタックウェブ開発者:28.0%
- バックエンドウェブ開発者:12.2%
- 学生:11.4%
- モバイル開発者(Android、iOS、Windows Phone、マルチプラットフォーム):8.4%
- デスクトップ開発者:6.9%
ただしこれらの職種は、回答者が自ら答えたものではない。ほとんどの回答者は単に「開発者」と名乗っており、その割合は71.6%にのぼる。また回答者の60.3%は自分が「プログラマー」であるとしており、「エンジニア」は41.8%だった。
開発者がどのような言語やテクノロジを使用しているかも重要なテーマだ。フルスタック、フロントエンド、バックエンドの開発者が使用しているのは、圧倒的にJavaScriptが多かった。モバイル開発者にはAndroidが最もよく使用されており、数学およびデータ処理の開発者の間ではPythonが、学生の間ではJavaが最も人気が高い。ただし、ほとんどの回答者は複数の言語を使うことができた。
レポートには、「平均すると、フルスタック開発者は5つから6つの主要な言語またはフレームワークを使用できる(これに対し、他の開発者は平均4つ)。また、会社役員はほかの開発職よりも多くの言語またはフレームワークを使用できるが、これは経験が豊富であることを反映していると思われる」と述べられている。
レポートでは、Stack Overflowを利用している開発者の年齢についても示されている。回答した開発者の平均年齢は29.6歳であり、中央値は27歳だ。20歳未満は7.1%に過ぎず、60歳以上は0.8%だった。国別の平均年齢では、米国が最も高く32歳で、インドが最も低く25.5歳だった。
回答者はプロフェッショナルとして以外の経験を含めて、平均6.5年の経験を持っていた。最も多かったのは経験年数2年から5年(32.1%)だったが、23.2%には6年から10年の経験があり、26.5%の回答者に11年以上の経験があった。
不思議に思う人はいないだろうが、回答者には女性よりも男性の方が圧倒的に多かった。
- 男性:92.8%
- 女性:5.8%
- その他:0.5%
- 開示しない:1.0%
さらに、女性が開発者として就いている職種は、男性とは違っている。レポートによれば、女性には男性よりも機械学習関連の開発者とQA開発者がかなり多く、「会社役員またはエンジニアリングマネージャーの比率はほぼ同じ」だという。女性の職種でも最も多かったのはデザイナーで、割合は12.4%だった。
男性と女性の経験年数の差は、地理的な条件や年齢によって違いがあり、どちらが長いかは条件によって異なる。女性には経験年数が短い人が多く、これは女性開発者の数が増加しつつあることを示していると考えられる。