ビッグデータプラットフォーム製品を提供しているMapR Technologiesが米国時間8月9日、5000万ドルの資金を追加調達し、株式公開(IPO)に向けた取り組みを進めていることを明らかにした。このニュースと、同社が直近の四半期で過去最高の業績を上げたとことを併せて考えると、これはビッグデータの企業への普及が進む中、この市場が成熟してきていることを示しているのかもしれない。
今回発表された金額と、2014年の資金調達ラウンドで得た1億1000万ドルを含む過去の調達金額を合計すると、株式発行を伴う調達の規模は1億9400万ドルに達しており、これに借り入れによる資金調達がプラスされる。今回のラウンドでは、Google CapitalやNew Enterprise Associates、Redpoint Venturesなどの既存の投資会社に、オーストラリアのFuture Fundが加わった。
MapR Technologiesの創設者兼最高経営責任者(CEO)John Schroeder氏は、「新規株式公開に向かうにあたり、当社のバランスシートは今回の資金調達によって補強された」と述べている。
MapRは、ビッグデータ導入に使われる「Apache Hadoop」のエンタープライズ向けディストリビューションを提供する企業だ。Hadoopはもっとも優れたビッグデータプラットフォームだと称されることが多いが、オープンソースであるため、MapRなどの企業はこれに機能を追加してエンタープライズ向けに仕立てている。
MapRの中核的な製品は、クラスタコンピューティングによってビッグデータのワークロードを処理するオープンソースフレームワークであるHadoopと「Apache Spark」を使用した、「MapR Converged Data Platform」だ。同社のウェブサイトによれば、「革新的なデータアプリケーションの開発と実行を実現する、グローバルなイベントストリーミング、リアルタイムデータベース機能、およびエンタープライズストレージ」などの機能を提供している。MapRは基本的に、本番環境にHadoopを導入しやすくする会社だ。
Hadoop市場と、その周囲に製品を構築した企業は、多くの業界で急速にビッグデータ戦略の標準になりつつある。現在は、Cloudera、Hortonworks、MapRの3つの企業がこの市場をけん引している。
この市場に最初に参入したのはClouderaであり、これまでもっとも多くの資金を調達したのも同社だ。Clouderaはまた、大規模なパートナーエコシステムを抱えている。最初に株式市場に上場したのはHortonworksで、2014年にIPOを果たした。一方MapRは、着実に成長を続け、新機能を追加し続けている。Hadoopと、ビッグデータを使いやすくするHadoopの能力は、各社が提供する機能と組み合わせることで、企業にとっての魅力を増しており、ビジネス向けビッグデータソリューション市場が成熟しつつあることを示している。
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