Googleは、33件のセキュリティホールを修正し、Flashへの依存度をさらに軽減した、Linux用、Mac用、およびWindows用「Chrome」のアップデートを配信した。
米国時間8月31日にリリースされた「Chrome 53」で導入されたこの変更内容は、デスクトップ版ChromeからFlashを排除することで、より新しい技術であるHTML5の利用を促進しようとする取り組みの1つだ。
Chromeには今もFlash Playerプラグインが組み込まれるが、Chrome 53では、ページ解析などのためにバックグラウンドで動くFlashを使用できなくなる。
Googleは8月に、「この種のFlashは性能を低下させており、2016年9月以降、Chrome 53ではこれをブロックする。HTML5はより軽量かつ高速で、ウェブサイト運営者はページの読み込みを高速化し、ユーザーのバッテリー寿命を延長するため、HTML5に切り替えつつある。これによって、多くのサイトで応答性と効率が向上するはずだ」と述べている。
今回のFlash利用の制限は、2015年に導入された、重要でないFlashコンテンツの再生にクリックを必要とするようになった変更の延長線上にある。12月にリリース予定の「Chrome 55」では、Flashしかサポートされていないサイトを除き、デフォルトでHTML5が使用されるようになる予定だ。該当するサイトでは、Flashを有効にするかを尋ねるプロンプトが表示され、手動で有効にしない限りFlashは無効になる。
Flashを排除したことでChrome性能は向上する一方、Flashのプラットフォームとしての重要性は低下するが、Flashのバグはこれまで頻繁に攻撃に悪用され、リスクの原因となってきた。
また、Chrome 53には33件のセキュリティ修正が含まれており、修正対象には、深刻度が「High」の脆弱性が13件、「Medium」の脆弱性が6件、「Low」の脆弱性1件が含まれている。
この中でもっとも深刻なのは、ユニバーサルクロスサイトスクリプティングが可能になる、レンダリングエンジン「Blink」に存在するバグ2件と、Chromeの拡張機能に影響があるスクリプトインジェクションの脆弱性1件だ。Googleはこれら3件の脆弱性を発見したセキュリティ研究者に対し、報奨金としてそれぞれ7500ドルを支払った。
Chrome 53で修正されたバグには、バグ発見報奨金プログラムに基づき、これまでに合計5万6500ドルが支払われている。ただし、Chromeの内蔵PDFリーダー「PDFium」に発見された特に深刻度の高いバグの価値をGoogleが評価した場合、この数字はさらに大きくなる可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。