アドオンにどう対処するか
Electrolysisの導入を拡大するにあたっての最大の障壁は、Firefoxのカスタマイズに利用される数千種類にも及ぶアドオン、例えば広告表示をブロックする、オンラインフォームに記入する、スクリーンショットをとるといったツールの多くに対応していない点だ。Mozillaはアドオン開発者と協力してそれらソフトウェアのアップデートを進め、またGoogleのChromeで使われているのと似た新しいアドオンの仕組みを導入して障壁の解消に努めているとDotzler氏は述べている。
Electrolysisを全ユーザーに展開するため、Mozillaは今後数カ月以内に非対応のアドオンをブロックしていく予定だ。
「おそらく来年の中頃までに、マルチプロセスのFirefoxはデフォルトになっているだろう」とDotzler氏は述べた。
最終的にMozillaは、タブブラウジングや優れたパフォーマンス、ポップアップ広告のブロック機能とともに、過去10年にわたってFirefoxの人気獲得に貢献してきた「カスタマイズしやすさ」という魅力によって、再び同ブラウザを際立った存在にしたいと考えている。
ただし、Mozillaはその他の問題にも対処する必要がある。例えば多くの時間と資金を投じてChromeを推し進めているGoogleとの競合や、近年重要性を増すスマートフォンやタブレットの分野にFirefoxはほぼ存在しないも同然といった事実だ。
Firefoxの基盤を異なるプロセスに分割すると、メモリ消費量に悪影響を及ぼす可能性があるが、Mozillaのアプローチは、ChromeやEdge、Appleの「Safari」といった他のマルチプロセスブラウザよりも優れているとDotzler氏は述べた。
「われわれには他のブラウザのメモリ消費量を上回ることなくマルチプロセスを可能にする余地がある。メモリの使用量を減らすことに過去5年を費やしてきた」(Dotzler氏)
第1段階のElectrolysisでは、パフォーマンスの向上を目指す。ただし、これはまずWindowsユーザー向けの対応となり、「Mac」「Linux」ユーザーはその後になる。またMozillaはElectrolysisによって、セキュリティを向上させる「サンドボックス化」技術を導入する。これは悪意あるウェブサイトのコードを封じ込めることで、ブラウザを処理するコンピュータメモリ、さらには基盤のOSにアクセスできないようにするものだ。
「あらゆる種類の(セキュリティ)侵害は、ブラウザやOSにアクセスを拡大する前に防御壁にはばまれることになる」とDotzler氏は述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。