欧米の起業家は、まだ中国を十分に理解できずにいる。中国で事業展開するときの問題の1つは、どうやってソフトウェアへの対価を支払ってもらうかだ。しかしさらに大きな問題は、中国の規模に対応できるソフトウェアを作ることだろう。
しかし、成功例もあちこちにある。その1つが、Alluxio(旧社名Tachyon)だ。筆者は最近、同社が中国有数のオンライントラベルサイトであるQunarのために、HDFSの性能を15倍向上させた件について記事を書いた。筆者は、Alluxioの創業者で最高経営責任者(CEO)を務めるHaoyuan Li氏が最近中国から戻ってきたところを捕まえて、中国のビッグデータインフラ市場の状況について尋ねることにした。中国では、国内のインターネットユーザー7億1000万人にサービスを提供するため、データセンターの容量倍増に3億7000万ドルが投じられる見込みだと聞き及んだためだ。
これはかなり大規模な動きだと言える。
中国のオープンソース化
ビッグデータの分野で最も興味深いことの1つは、最も優れたデータインフラ技術のすべてがオープンソースであることだ。Clouderaの共同創立者Mike Olson氏はかつて、「過去10年間、クローズドソースの独自技術が、プラットフォームレベルのソフトウェアインフラストラクチャで主流になったことはない」と述べている。この傾向は、データインフラの分野では特に顕著だ。
歴史的に、中国ではこのような無料で利用できるソフトウェアの恩恵を受けてきたが、ビッグデータの分野では、単に西側諸国の優れたソフトウェアを消費しているだけではなく、自らのソフトウェアをオープンソース化する動きも盛んだ。例えばBaidu(バイドゥ)は最近、自社の機械学習プラットフォームである「PaddlePaddle」をApacheライセンスでオープンソース化したと発表した。Li氏によれば、「これは、Googleが自社の機械学習プラットフォームである『Tensorflow』をオープンソース化したのと同じくらい大きな出来事だ」という。
Baiduの取り組みは、中国でソフトウェアに対する考え方が変化していることを示している。2014年12月、中国の工業情報化部(MIIT)は、国として「OpenStack」をサポートし、国営企業での利用を推進すると宣言した。その後間もなく、Tencentが自社の分散クラスタSDNコントローラの開発を継続するのをやめ、Open Daylight FoundationのSDN技術を採用したことをNeela Jacques氏が明らかにした。中国のいたる所で、オープンソースのコードを利用しようという同様の取り組みが増えており、オープンソースに対するコントリビューションも盛んになりつつある。
Li氏が筆者に語ってくれたように、中国の事業は規模が大きく、そのような環境でソフトウェアを利用することは究極のテストになるため、それは非常に重要だ。

提供:iStockphoto/William_Potter