米国MathWorksは9月15日、MATLABでのビッグデータの処理方法を簡略化する新しい機能を追加した「Release 2016b」を発表、提供を開始した。本リリースでは、大きすぎてメモリに収まらないデータをさらに容易に操作できるようになったほか、Simulinkの追加機能(新製品:Risk Management Toolbox)、さらに更新およびバグ修正が行われた83製品が含まれる。
MATLABは、Language of Technical Computing(技術計算のための言語)として、アルゴリズム開発、データ解析、視覚化、数値計算のためのプログラミング環境を提供する。Simulinkは、マルチドメインシミュレーションやダイナミックシステム、および組込みシステムのモデルベースデザインのためのグラフィカル環境。これらのプロダクトファミリは、自動車、航空宇宙、エレクトロニクス、金融機関、生命工学、製薬などの産業分野において、発見、革新、開発を加速させるためのツールとして世界中のエンジニアや科学者に活用されている。またMathWorks製品は、教育および研究に欠かせないツールとして、世界各国の大学や教育機関において活用されている。
R2016bの新機能の一つ「tall配列」は、アウトオブメモリデータをエンジニアや科学者が使い慣れたMATLAB関数と構文を使用して(大規模データのプログラミングを学習する必要なく)自然に処理できるようにするもの。tall配列は、数百もの数学、統計および機械学習のアルゴリズムで使用できる。コードはHadoopクラスター上で実行可能となっており、Sparkアプリケーションに直接統合することも可能。
また本リリースでは、タイムスタンプ付き表データにインデックス付けおよび同期を行うtimetableデータコンテナー、テキストデータを効率的に操作、比較および格納するための文字配列、データの前処理を行う新しい関数も含まれている。
同社MATLABマーケティング ディレクター、David Rich氏は以下のようにコメントしている。
「企業はデータにおぼれている状態ですが、これを利用してさらに優れた予測モデルを構築し、さらに深い洞察を得られるように努力しています。R2016bでは、分野の専門家がさらに多くのデータをより容易に処理できるようにするための障壁が下がっています。これが、システム設計、パフォーマンスおよび信頼性の向上につながります」