VMwareで最高経営責任者(CEO)を務めるPat Gelsinger氏は、11月8日に都内で開催された自社イベントに出席するために来日した。クラウドやデバイスを問わず、共通の運用環境でアプリケーションを実行、管理、接続し、同時に安全性も確保できるアーキテクチャ「Cross Cloud Architecture」の展開に注力すると話している。
Gelsinger氏は10月14日に発表したAWSとの戦略提携について、「自分がCEOになる前から出ていたほど、以前からあった話」と述べた。
VMwareで最高経営責任者(CEO)を務めるPat Gelsinger氏
主に開発環境として広く利用されるようになったAWSのインフラだが、次第にエンタープライズ用途にも浸透し始め、またAWS自身も、サーバやストレージだけでなく、リレーショナルデータベースの「Aurora」やサーバレスアーキテクチャの「Lamda」など、さまざまな企業向け機能を充実させるようになった。
AWSが提供する機能を利用したいという企業が増える一方で、既存のオンプレミス環境などをAWSに移行するにはハードルがあった。今回の提携は、既存のオンプレミス環境を、ユーザー層の広いAWS上に移すことが容易になるという意味で、インパクトがある。
従来は、実質的にAWS環境とオンプレミス環境などのどちらかを選ぶ必要があったが、今後は両方を同じAWS上で使えるようになるとする。
「これまでA or B(AWSかVMwareベースのオンプレミスか)という選択肢しかなかったが、今後はA and Bが可能になる」(Gelsinger氏)
これにより、ハイブリッドクラウド環境の構築のしやすさなどをAWSへの差別化ポイントとしていたMicrosoft Azureなどは、その特色を失うことになるとGelsinger氏は指摘する。
VMwareはIBMと2月にクラウドで協業を発表しているが、IBMにとっても脅威と言えそうだ。
「VMwareとAWSによるハイブリッド環境はほかを凌駕している」とGelsinger氏は自信を持っていた。