中国ビジネス四方山話

今年ブレイク--自転車シェアビジネスは儲かるのか

山谷剛史 2016年11月15日 06時00分

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 今年ブレイクしたネットサービスではスマホを活用した自転車シェアサービス「mobike(摩拜単車)」や「ofo」が挙げられる。いずれも移動での「ラストワンマイル」に小回りがきく自転車を安価で提供することにより、アンテナを立てた人々が使い始め、さらにその周囲の人々や都市や学内の人々に影響を与え利用者を増やした。

 一見すると男性の利用者が多いが、女性や子供が乗る姿も。認知度が市民の間で広がる中でmobikeやofoへの投資の動きが続々とあり、投資金をもとにさらに中国全土にサービスを展開していくだろう。

 mobikeは北京・上海・広州など大都市限定のサービスだが、これら都市では街歩きをしていると赤いボディの自転車mobikeをよく見かけるようになった。それ以前にも各地域で政府が自転車シェアサービスをリリースしているが、決定的な違いはmobikeは専用の駐輪場に置く必要はなく、どこに置いてもいいということである。

 専用の自転車にはGPSが内蔵されているので、mobikeアプリを起動すると近くにあるmobike自転車を教えてくれる。利用料金は30分で1元(約16円)で、299元(約4800円)のデポジットから差し引かれていく。

 一方、ofoは、基本大学内の移動を目的に作られた自転車シェアサービスで、黄色のボディの自転車が目印だ。こちらは中国全土の都市の大学で展開されている。料金は1分0.01元(約0.16円)、1km0.04元(約0.64円)、学校内で利用する場合は上限は2元(約32円)で、いくら走り続けても上がらないわけだ。学校外に出る場合は99元(約1600円)のデポジットが必要となるが、北京などではmobikeの人気を受けてかofoも大学外で徐々に見るようになったという。

 いくら人気上昇中のサービスとはいえ、利用料金は低く、自転車は消耗品なのでやがては壊れるわけで、果たして儲かるのかという疑問が浮かぶ。こうした疑問について中国の複数のメディアや調査組織が分析を行っている。

 まず自転車は再評価されている流れにある。中国で自転車は2000年代に一度自家用車などに主役を奪われ保有率が減ったが、2010年代になり再評価され保有率があがっていて自転車のニーズはある。ところが家でも外でも専用の駐輪場に止めなければいけないし、止めなければ盗難や撤去の恐れもある(実際日本のほうがよほど路上駐輪をみかける)。

 自転車は必要だけれど、自転車を保有するのは面倒くさい、というのがまず実情である。街中でのバス停や地下鉄駅からのラストワンマイルでは、そこで待つ二輪車・三輪車のバイクタクシーを利用することもできるが、いかんせんお金がかかる。健康ニーズが高まり、また大都市では自転車レーンが徐々に整備されていく中で、自転車が再評価され、高頻度の利用が期待できる。

 次に自転車シェアサービスを実現するための各種ネットサービスが以前と比べ整っているという点がある。ofoは基本大学内での利用だからリスクは少ないが、mobikeはリスクが高い。そこでmobikeでは、今や中国の多くの主要ネットサービスが採用する携帯電話番号と紐づけた実名登録を採用。

 また社会信用スコアという概念はネットでは珍しくなくなったことから、初期に100ポイント信用スコアがもらえ、1回の利用でプラス1ポイント、駐輪禁止地域での駐輪でマイナス20ポイント、ポイントをなくしたらアカウント凍結という信用スコア性を採用した。金融系を含む、さまざまなネットサービスと電話番号がひもづけされていることから、アカウントが凍結されたら電話番号を取得して新しいアカウントを作ればいい、とはいえない状況なのだ。シェア自転車乗りはマナーを守った運転を余儀なくされるわけだ。

 一度開発してしまえば一度に同一の自転車を何万台単位で大量生産するのでコストも下がる。とはいえ、いくら大量に生産して多くの人が頻繁に利用しても儲けるには年単位の時間が必要だと複数の調査で算出されている。

 広告収入はどうか。シンプルなデザイン性のある自転車なので自転車にラッピング広告を載せることもないだろうし、アプリに広告を載せることもないだろう。むしろGPSを内蔵した自転車なので、ラストワンマイルの人の動きをとらえたビッグデータが商材となるのではないか、と分析されている。だとするとofoが大学外でも利用を許容する動きになっているのも納得できる。

山谷剛史(やまやたけし)
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。現在NNA所属。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立(星海社新書)」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち (ソフトバンク新書)」など。

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