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ITを駆使して「製造強国」を目指す「中国制造2025」とは

山谷剛史

2016-10-04 06:00

 コンシューマー系のITの話題と中国の政策はあまりリンクすることはないが、今後のコンシューマーのITも含めて2015年5月に発表された中国の政策「中国制造2025(Made in China 2025)」は知っておく価値があるので、ざっくりと紹介したい。ちなみに「中国製造」の誤植ではなく「中国制造」で正しい。

 この政策では、中国が2025年までに「製造大国」から「製造強国」になり、2035年まで中国の製造業が日本やドイツを超すことを目標とする。具体的な強化ジャンルには、情報産業、ロボット、地下鉄など近距離交通、エコカー、航空宇宙、医療など10のジャンルが挙げられていて、その中でも情報産業にフォーカスすると、端末、IC、5G、ストレージ、サーバ、OS、工業用ソフトなどが重視されるほか、部品など細かい項目での個々の強化が謳われている。しかも、10のジャンル全体でIoT(モノのインターネット)の導入などによる工業の情報化が書かれており、あらゆる業界で情報化を進める意向が伺える。

 あらゆる業界にインターネットを導入するということは、過去に当連載で紹介した「インターネットプラス(互聯網+)」とリンクする(参考記事:中国が目指す「(インターネットプラス)」とは)。現にIoTを活用した情報化のニュースでは「中国制造」と「互聯網+」が一緒に挙げられる。余談だが、IoTは中国語で「物聯網(モノをつなぐネット)」。車向けIoTや車載IoTを「車聯網(車をつなぐネット)」という。

 号令が出てニュースで報じられるだけがメリットではない。政府の肝入りになった産業は関係省庁がバックアップしてくれる。たとえば補助金をメーカーに支給したり、業界が発展するためのプラットフォームを作ったり、業界のルール作りを行政が意識して早く作ったり、各省の行政が情報産業の工業区を安価で提供したりしてくれるメリットがある。

 この手の製造振興政策においても「上に政策があれば下に対策があり」とはよくいったもので、役人が詳しくないことをいいことに、同一製品なのに色だけを変えて「別の製品」として扱ったラインアップを揃え、製品の数だけ補助金をもらう企業や、補助金対象業界の企業のフリをして実際は別の業務を行う企業など、悪徳企業の話はなくならない。だが一方でIoTとの連携など、産業とインターネットの融合をもともと研究している企業もあり、こうした企業は政府のバックアップにより、研究を加速できる。

 ドイツも製造のスマート化「インダストリー4.0」を推進している。中国発の「中国制造2025」も世界の産業の情報化革命を起こす柱の1つとなるだろう。ただ中国はしばしば西側諸国を敵対的と形容していて、Googleなどの米国企業に情報をとられることへの嫌悪感をあらわにし、米国に情報がだだ漏れにならないようGoogleを拒み、百度やQQ、微信(WeChat)など自国のサービスを揃え、AppleやMicrosoftに対し、中国向けのOSやサーバなどのローカル化を求めた。となれば、今後の取り組みにおいても、西側に情報が漏れると解釈できる西側のサービスは利用しないだろうし、ドイツや米国や日本などと協調するようになるとも考えにくい。

山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター
2002年より中国雲南省昆明市を拠点に活動。中国、インド、アセアンのITや消費トレンドをIT系メディア・経済系メディア・トレンド誌などに執筆。メディア出演、講演も行う。著書に「日本人が知らない中国ネットトレンド2014 」「新しい中国人 ネットで団結する若者たち 」など。

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