調査

AI研究テーマ、日本は基礎研究と生産技術、米国は医療が急伸:アスタミューゼ

NO BUDGET

2016-12-04 07:00

 アスタミューゼは11月18日、日本と米国の人工知能(AI)分野の研究テーマを比較調査した結果を公表した。比較したのは、日本の文部科学省による科学研究費助成事業(科研費)と、アメリカ国立科学財団(National Science Foundation:NSF)から交付される競争的研究資金プログラムに採択された研究テーマ。アスタミューゼが独自の分析によりAI分野のみを抽出し、下表の5用途に分類して日米比較した。それによると、日本は米国に比べ、一般的に言われるように明確な用途に分類されない基礎研究の比率がより高く、用途別にみると生産技術分野などが高い比率にあるという。


本調査における、AIの用途および想定される製品・サービスの分類

 調査対象としたのは、科研費およびNSFにおける、研究開始年基準で2006年1月1日~2015年12月31日の期間の研究。AI分野全体の研究テーマ数は、科研費が1459件(2006~2015年)、NSFは2719件(2006~2015年)だった。このうち明確な用途に分類された研究テーマの件数をみると、科研費が522件(AI分野全体の36%)、NSFでは3536件(同133%)となった(複数用途に分類される研究テーマをカウントした上で合計しているため、AI分野全体の研究テーマ数とは一致しない)。このことから、日本では基礎研究の比率が高く、米国ではより用途の明確な実践的研究が活発であることが推測される。

 また、それぞれの年ごとの推移をみると、NSFがほぼ右肩上がりに伸びを見せているのに対し、科研費は2012年をピークに2014年にかけて落ち込みを見せ、2015年にやや復調していることが読み取れる(ただし、科研費の場合はデータの整備状況により、14年度・15年度の一部が集計外となっている場合がある)。



科研費(上)とNSF(下)の研究テーマ件数の推移(グラフ中の年次は研究開始年)

 用途別にみると、科研費では「生産技術」「コミュニケーション」が高い比率で推移しているほか、東日本大震災の翌年にあたる2012年には「地理・防災」が増加、2015年には「医療・ヘルスケア」が伸びを見せている。一方、NSFでは、IBMの「Watson」がクイズ番組で人間に勝利し(2011年)、ヘルスケアを注力分野として大学・研究機関との積極的な提携を展開しはじめた翌年の2012年から「医療・ヘルスケア」が急伸しているほか、「マーケティング」が順調な伸びを見せている点にも注目される。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  2. ビジネスアプリケーション

    新規アポ率が従来の20倍になった、中小企業のDX奮闘記--ツール活用と効率化がカギ

  3. セキュリティ

    AIサイバー攻撃の増加でフォーティネットが提言、高いセキュリティ意識を実現するトレーニングの重要性

  4. セキュリティ

    「どこから手を付ければよいかわからない」が約半数--セキュリティ運用の自動化導入に向けた実践ガイド

  5. ビジネスアプリケーション

    改めて知っておきたい、生成AI活用が期待される業務と3つのリスク

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]