ポルトガル・リスボン発--人工知能(AI)はいずれ企業の意思決定や計画策定も担うようになり、人間の従業員は創造性が必要な仕事に時間を費やせるようになる。
これが、Volkswagenの最高情報責任者、Martin Hofmann氏が語る未来だ。現地時間2016年11月8日、ポルトガルのリスボンで開催されたテクノロジーカンファレンス「Web Summit 2016」で、Hofmann氏は「ロボット企業」の実現は一般に思われているより近づいており、すでに一部の仕事はほぼ完全に機械学習(ML)やAI、アルゴリズムが担いつつあると語った。
ドイツの自動車メーカーであるVolkswagenは、すでにAIをビジネスで活用している。同氏によれば、VolkswagenはAIの応用研究だけを行う拠点や研究所を3つ持っており、「AIをまったく新たな次元に進化させようとしている」という。それらの拠点では、コネクテッドカーのソリューションに取り組む以外に、企業の業務プロセスを加速するためのAIシステムも開発しており、そのすべてがいずれパブリックドメインになるという。
Hofmann氏によれば、Volkswagenでは、エンタープライズ市場におけるAI技術の応用水準を定義する際、段階を次の5つの「ステージ」に分類している。各ステージは、Society of Automotive Engineersが自動運転車の違いを定義するために作成した管理図に発想を得たものだという。
- 手動:人間がすべてのビジネス上の意思決定を行う。
- 補助:AIがビジネス情報のアナリティクスとアルゴリズムに基づいて提案を行うが、意思決定は人間が行う。
- 部分的な自動化:人工知能が判断を行うが、変更を行う際には人間の確認を必要とする。
- 高度な自動化:定型業務はすべてAIシステムが行う。
- 完全自動化:すべてのビジネス上の意思決定は人工知能が行い、人間は判断しない。
レベル4やレベル5に達したという企業はまだ出ていないが、Hofmann氏はいずれ、深層ニューラルネットワークや機械学習、エンタープライズbotを利用することで、これらのレベルに到達できると考えている。
同氏は将来、アナリティクスと監視ボットが、事業に影響を与える出来事や状況のパターン認識に使用され、ソーシャルメディアやマクロおよびミクロの経済状況からトレンドを発見する役割も果たすと予想している。
これらのボットは、アルゴリズムとAIを使用することで、バーチャルな企画営業の仕事もできるようになり、アナリストは新製品の市場シェア予想を行えるようになる。