IBMは米国時間11月9日、ロボットからスマートホームに至るまでのさまざまなデバイスやセンサを、同社の人工知能「IBM Watson」に接続するための開発者向けツールを公開した。
同社はWatsonの持つ能力を開発者にもたらすための取り組みを進めてきている。今回発表された「Project Intu」はその最新の取り組みだ。これはWatsonの会話能力や言語処理能力、視覚認識能力に基づくサービスを、より容易にデバイスに組み込めるようにする実験的なフレームワークだ。
IBMは、開発者がIntuを利用して認知機能をデバイスに追加し、質問やジェスチャーを理解したり、天気や時間といったものを監視できるようにしてほしいと考えている。
IBMはIntuのソフトウェア開発キット(SDK)をGitHubや、同社の「Intu Gateway」上で公開し、開発者が「Raspberry Pi」や「Windows」、Linux、「macOS」を含むさまざまなプラットフォーム上でWatsonの機能を利用できるようにしている。なお、これらのツールを利用するには「IBM Bluemix」クラウドのアカウントを有している必要がある。
IBMはGitHubページ上で「Intuは、視覚や聴覚、嗅覚、サウンド、赤外線量、温度、振動を検知するデバイス上でWatsonのサービスを利用できるようにするアーキテクチャだ。Intuを利用したデバイスはスピーカーやアクチュエータ、ジェスチャー、芳香を発生させるデバイス、光、ナビゲーション機器といったものを使って情報を伝え、周辺環境や他のデバイス、人々とやり取りできるようになる」と説明している。
同プロジェクトは、Raspberry Piにさまざまなセンサを接続してロボットを作り上げようとしている開発者から、顧客サービスのためのボットを研究している企業に至るまでの、あらゆる種類の開発者に向けたものとなっている。
IBMによるとIntuは、ドラッグ&ドロップでIoTデバイスをプログラミングできるようにする同社のフローエディタ「Node-RED」よりも、さらに先進的な開発プラットフォームだという。
IBM Watson部門で製品管理と戦略担当のオファリングマネージャーを務めるShantenu Agarwal氏は、「Node-REDのような従来型のオーケストレーションは、コマンドとアクションが対応付けられるシナリオに最適である一方で、Project Intuは常に変化する状況に対して、最適な反応を実行に移す能力を備えている」と述べている。
「アクション、およびサービスの利用という双方のスケーラビリティを重視する場合、Project Intuの利用によって、増大し続ける論理ツリー構造を管理する必要なく、最小限のコーディングで迅速に新たな振る舞いを定義できる拡張性を手に入れることができる」(Agarwal氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。