ガートナー ジャパンは11月8日、日本企業のビッグ・データへの取り組みに関する調査結果を発表した。それによると、67.2%の日本企業がビッグデータに向けた活動を既に進めていることが明らかになったという。
今回の調査は、日本における企業・組織のさまざまなITのニーズや課題を分析することを目的として2016年2月に実施された。日本全国の従業員数500人以上のITユーザー企業に勤務し、ITインフラストラクチャにかかわる企画や製品、ソリューション、に対して決裁権がある/関与している、もしくはITインフラストラクチャの戦略に関与している役職を想定してアンケート調査を行っている。有効回答数は515件で、回答企業の従業員数規模別の内訳は、2000人以上が259社、1000~1999人が99社、500~999人が157社。
主な調査結果は以下の通り。
- ビッグデータに取り組む日本企業は微増
- IT部門とビジネス部門の対話を開始している企業は少数
日本におけるビッグデータは、ハイプサイクルのピークを越えて幻滅期の底へと向かう状況にある。ガートナーでは、ビッグデータへの期待が小さくなり、取り組みを進める企業が若干減少すると予測していたが(下図の点線部)、実際には2015年の65.6%から1.6ポイントの微増となった。
日本企業のビッグ・データへの取り組み状況
なお、企業がビッグデータの活用を進める最終目的は、テクノロジを導入することではなく、ビッグデータを集めることでもなく、ビジネス上の成果(例えば、売り上げや利益の増大、顧客関係の改善)を生み出すことにある。
つまり、これまでIT部門が取り組んできたような、ゴールと方法論が比較的明白なプロジェクトとは異なり、解決すべき課題や改善すべきテーマを最初に特定することが必要だ。こうした背景から、実際にビッグデータの活用に取り組み始めた企業では、「実際に何を分析すれば、ビジネス上の成果が生まれるのか」について悩んでいるケースが多く見受けられるという。
「ビジネス部門には、データ活用で解決できる課題や新しいアイデアが多く埋もれていると思うか」との問いには、72.8%の企業が「はい」と回答した。しかしながら、ビジネス部門との対話を進めているのは19%に過ぎず、4割に上る企業は1年以内に対話を始める見込みであることが明らかとなった。
ビジネス部門に課題やアイデアは眠っている
ガートナーでは、データの重要な活用方法として、いかに「将来の予測」を進めるか、いかにアルゴリズムを適用し「判断の自動化」や「ビジネス・プロセスの自動化」を進めるかという点が、今後いっそう重要となっていくとみている。そして、工業化された数理的なアルゴリズム群を複合的に用い、判断の自動化やプロセスの自動化により競合上の差別化をもたらす「アルゴリズム・ビジネス」が拡大していくと予想している。