Googleが米国時間12月5日に公開したAndroidの月例セキュリティアップデートでは、11件の「重大」な脆弱性が修正された。これには「Dirty Cow」と名付けられたセキュリティホールが含まれている。
今回のセキュリティ情報では、全部で50件以上のセキュリティホールが修正されており、そのうち11件で重大度が「重大」に設定されている。このほかに、12月1日付けのパッチレベルでも、重大度「高」の脆弱性が10件修正されている。
Dirty Cow(CVE-2016-5195)は、10年近く前からLinuxカーネルに存在していた脆弱性だ。Threat Postで説明されているとおり、このセキュリティホールはメモリシステムに競合状態が発生する可能性のあるバグを悪用して、read-onlyメモリに対する書き込み権限を獲得し、システムの管理者特権を得るというもので、Linuxの各ディストリビューションなどで10月に対応されている。
この問題を悪用するエクスプロイトキットが出回っていたにも関わらず、多くのAndroidユーザーはこの問題に対するソリューションの提供を待たされていた。
Googleはまた、管理者特権を奪われる可能性がある、カーネルメモリサブシステムのセキュリティホール(CVE-2016-4794)も修正している。
12月5日付けのパッチでは、カーネル本体やカーネルIONドライバ、HTCのサウンドコーデックドライバ、MediaTekドライバに発見された特権昇格の脆弱性も修正されている。カーネルのセキュリティサブシステム、パフォーマンスサブシステム、MediaTek I2Cドライバ、Synapticsタッチスクリーンドライバ、Broadcom Wi-Fiドライバにも、特権昇格の脆弱性が存在していた。
GPSシステムに存在するサービス妨害(DoS)攻撃を招く可能性のあるバグや、さまざまなカーネルコンポーネントでの情報開示の脆弱性も修正されている。
12月のセキュリティアップデートでは、NVIDIAのGPUドライバ、ビデオドライバ、カメラドライバ、およびNVIDIAのライブラリに関する多くの問題が修正されており、これにはGPUドライバとビデオドライバに存在する重大な特権昇格の問題や、libomxライブラリに存在する特権昇格の問題、一連の情報開示の問題が含まれる。
Qualcommのコンポーネントにも、特権昇格のセキュリティホールや情報開示の問題を含む一連のバグが存在しており、これらについてもパッチが適用された。
12月1日付のパッチレベルには、リモートからコードを実行される可能性のあるCURL/LIBCURLの脆弱性や、libziparchive、Smart Lock、Framework API、Telephony、Wi-Fiサービスに存在する特権昇格の脆弱性、Mediaserver、Package Managerでの情報開示の脆弱性に対する修正も含まれている。
さらにGoogleは、Telephonyコンポーネントのサービス妨害攻撃を引き起こす可能性のあるバグと、Framesequenceライブラリのリモートコード実行のセキュリティホールにも対処している。ただし、すべてのアップデートが適用されているAndroid 7.0以降のデバイスは、Smart Lockに存在する特権昇格の脆弱性の影響を受けない。
Googleによれば、これらの問題が悪用された事例は報告されていないという。
アップデートは無線通信経由で各Androidデバイスに送信され、これには5日にAndroid 7.1.1がリリースされた、PixelとNexusのデバイスも含まれる。Google端末のファームウェアイメージも、Googleデベロッパーサイトにアップロードされている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。