日本マイクロソフトは12月1日、「IoTビジネス共創ラボ]」のパートナー企業を招いたラウンドテーブルを開催した。IoTビジネス共創ラボは、Microsoft Azureを用いたIoTソリューションの開発促進や、各関連企業のマッチングを支援する目的で、日本マイクロソフトが2月に設立。これまで複数のワーキンググループ(WG)単位で取り組みを続けてきた。今回は、Microsoft クラウド&エンタープライズ担当コーポ-レートバイスプレジデント 沼本健氏の訪日に合わせて、各WGの進捗説明が行われた。
当初10社の参加で設立したIoT共創ラボだが、現在はソフトバンクロボティクスが新たに加わりメンバーは11社になった。10月末時点で一般企業会員は218社を数え、「多くの企業がIoTビジネスに興味を持っている」(東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー バイスプレジデント 福田良平氏)という状況だ。ソフトバンクロボティクスの参画により、設立当初に設けたビジネスWG、製造WG、物流・社会WG、ヘルスケアWG、分析WGに、「Pepper WG」が新設された。同日はこの6つのWGについて、プロジェクトの共同検証結果、取り組みが紹介された。
IoTビジネス共創ラボ参加企業。ソフトバンクロボティクスは2016年8月から参加した
製造WGを代表して、東京エレクトロンデバイス IoTカンパニー エンベデッドソリューション部 部長代理 西脇章彦氏は、コンテック小牧工場におけるIoTの可視化検証プロジェクトを紹介した。
このプロジェクトでは、実装ラインにおける基板生産枚数の管理、消費電力監視、温度・湿度計測による環境やCell生産の稼動状況の管理、静電チェッカの計測結果、トルクドライバの作業前確認、はんだこて先温度管理をオンライン化している。その結果、従業員の健康管理や機械情報の可視化が実現され、工場以外での意識改革という効果が現れたと西脇氏は語る。
本プロジェクトに対して沼本氏は、天候情報など他の外部データを組み合わせることでデータの価値をさらに高められるとコメント。米国の事例を紹介しつつ、データ価値の向上に伴い、パートナー企業のビジネス好機が増えるため、MicrosoftもIoTソリューションの展開を支援したいと語った。
製造WGはコンテック小牧工場における各種情報の管理や、オンライン化でアナログ情報の可視化を実現した
物流・社会WGを代表して、ナレッジコミュニケーション 取締役 執行役員 COO 小泉裕二氏は、グローバルピックファームの養豚出荷予測プロジェクトを披露した。
養豚の出荷に要する日数や頭数は、飼育担当者が経験に基づいて判断しているため属人性が高いという。そこで過去10年間の養豚出荷データをAzure Machine Learning(ML)上で分析し、最短1週間の誤差で標準化する概念実証を行った。さらに今後はセンサデータをAzure上に蓄積し、設備運営の自動化を目指す。
同プロジェクトの課題として、豚舎を高圧洗浄する際にセンサデバイスが故障するケースが散見されたことを挙げた。「耐久力のあるデバイスをAzure Certified for IoTで重視できないか」というのが小泉氏の提案だ。日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 エグゼクティブプロダクトマネージャー 大谷健氏は、現在26種のデバイスがAzure Certified for IoTで認証されている現状を説明しつつ、「日本発グローバル向けIoTデバイスの認証を加速させたい」と述べた。