土量管理や工事の進捗管理のため、ドローンを用いたレーザー・写真測量などを提供しているテラドローンは11月、ベルギーに本社があるUnifly NV(Unifly)と資本提携し、ドローンの運行管理システムであるUTM事業を開始すると発表した。
今回の提携を通してどのような事業を展開しようとしているのか、Uniflyの最高経営責任者(CEO)Marc Kegelaers氏と、テラドローン 事業開発部 UTM事業責任者の神原奨太氏に話を聞いた。
--まずは、ドローン運行管理システム(UTM)参入の背景をお聞かせください。
神原氏 UTMとは、リアルタイムにドローンの位置情報を把握することで、複数のドローンが衝突することなく、安全に運行できるようにするシステムです。これまでテラドローンでは、ドローンを用いた土木測量を提供してきました。今後は測量以外に、農業や点検などでもドローンが使われる産業が拡大するのに並行して、目視外飛行を可能にするUTMが必要になると見越しています。
テラドローン 事業開発部 UTM事業責任者の神原奨太氏
そこで、代表の徳重徹が150~200社のドローンビジネスの企業、5~6社のUTMを専門に扱う企業を訪れた結果、Uniflyが最もテクノロジ面で優れ、プレゼンスやマーケティング能力も高いということで、今回の資本提携に至りました。
将来的には目視外飛行での運行管理を目指しており、具体的な内容にはフライトプランの管理や、リアルタイムでのフライト情報の管理、飛行可能なエリアの提示などがあります。最終的なお客様は航空関係のプロバイダですが、ハードウェアメーカーやドローンのオペレーターなど、全方位と協力していく予定です 。
欧米は2017年がトライアルの年になる見込みで、各国の航空管制局はこれまで有人機のみを管理していましたが、ドローンも含めて空を統合的に管理していきたいという動きが出てきています。日本でも、2017年度は経産省がドローンを使ったプロジェクトを検討しているようです。
--具体的にUTMが活用できると想定されている場面はありますか。
神原氏 UTMにはいくつか機能があります。それら全てを使えば目視外飛行が可能になるのですが、目視外飛行が実現するより前に、個別の機能を切り出して使うこともできます。その1つが、決められた範囲の外にドローンが出ないようにする「ジオケージング」です。
測量で高速道路や高圧電線の近くでドローンを飛ばす際に、落としてしまうと多額の損害賠償がかかります。ジオケージングを使うことで、これを防止することができるのです。もちろん、目視外飛行が可能になれば、現場に行かないで測量を完了させることもできるようになります。
農業も同様です。農業では、農薬が隣の畑に飛散することがしばしば問題になりますが、ジオケージングによって、農薬を散布するドローンが決められた区域の外には行かないようにすることができます。人を使わずに広大な農地を点検したり、植物の状態を管理することも可能になっていくでしょう。