政府、自治体におけるドローン活用への期待が高まっており、規制緩和や評価基準の策定とともに、新しい産業の創出や、観光、物資などの運搬、調査・点検、災害などでの活用に向けた取り組みが始まっている。
政府は9月12日、総理大臣官邸で成長戦略の司令塔となる「未来投資会議」第1回会合を開催し、人工知能(AI)やロボット、ビッグデータ、IoTなどを活用して産業の生産性や新しい市場を創出する「第4次産業革命」を推進する。
未来投資会議で安倍総理は、第1弾として、第4次産業革命による「建設現場の生産性革命」の実現に向けた方針を掲げた。建設現場の生産性を、2025年までに20%向上を目指し、3年以内に橋やトンネル、ダムなどの公共工事の現場で、測量にドローンなどを投入し、施工、検査に至る建設プロセス全体を3次元データでつなぐ、新たな建設手法を導入していくとしている。
未来投資会議では、建設現場の生産性を、2025年までに20%向上に向けた取り組みについて、国土交通省から「i-Construction」が紹介されている。i-Constructionは、ドローンによる3次元測量など、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICTなどを活用する。
(出所:未来投資会議 2016.9.12)
ドローンの活用に向けた法改正やドローン向け通信用周波数帯の新設などの規制緩和の取り組みも進んでいる。
国土交通省は2015年12月10日、ドローンの飛行禁止空域およびドローンの飛行方法などの規制を定めた改正航空法を施行している。改正航空法では、ドローンの飛行にあたって、空港周辺など、航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域や、人や家屋の密集している地域の上空では、国土交通大臣の許可を受けなければ、飛行を禁止するとしている。人や建造物から30メートル未満、地上150メートル以上が原則禁止となっており、許可が必要な空域は、東京23区や主要都市が対象となる。
総務省はこの7月、ドローンが携帯電話網を通じて無線通信ができるようにする電波法関係省令などを改正し、ドローン用周波数帯として新たに5.7GHz帯と2.4GHz帯の2つが設けられる。これにより、高画質な映像のリアルタイム伝送を5キロメートル程度まで伝送することが可能になる。