調査会社のIDC Japanは2018年2月15日、「国内商用ロボティクス市場 ソリューションタイプ別予測」を発表した。
IDCでは、国内商用ロボティクス市場は、産業用ロボットとサービスロボット、エンタープライズドローンの3つのソリューションタイプで分類し、2016年~2021年の年間平均成長率18.3%で成長し、2021年の支出額は2兆1236億円まで拡大すると予測している。
IDC Japan 2018.2.15
商用利用されるエンタープライズドローンは、2017年には通信事業者によるドローンビジネス支援サービスが開始され、2018年以降は業務効率化や省力化にエンタープライズドローンの活用が本格化し、2021年にはエンタープライズドローン市場の支出額は266億円まで拡大する見込みだ。
その一方で、航空法や電波法などの複数の法規制により、飛行範囲が制限されており、ドローンの商用利用領域の拡大には、政府の法規制改革の必要性が指摘されている。今回、これらの対応に向けた政府の取り組みを中心に紹介する。
小型無人機(ドローン)は物流分野での活用が期待されており、政府も具体的な取り組みを始めている。
経済産業省は2018年1月31日、新たな「総合物流施策推進プログラム」を公表し、総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)に基づき、今後推進すべき具体的な物流施策をとりまとめている。
総合物流施策推進プログラムの構成には、「IoTやビッグデータ、AIなどの活用による物流革命」が5つの柱として位置付けられており、その中で、ドローンの物流事業への活用についても取り組み方針を示している。
ドローンの物流事業への活用では、2018 年には、山間部などニーズの見込まれる地域で、ドローンを使用した荷物配送を本格化させる。
本事業の実施にあたって、国土交通省・経済産業省・環境省などが連携し、目視外飛行に求められる機体の性能、飛行させる者及び安全を確保するための体制に係る要件について、2017 年度末までにこれらの要件をとりまとめる。この結果を航空法に基づく許可・承認の審査要領に反映させる予定だ。
経済産業省 総合物流施策推進プログラム 2018.1.30
国土交通省と経済産業省では、2017年9月に「無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会」を設置し、特にドローンの物流での利用に求められる要件についての検討を行うため、検討会の下に物流分科会を設けている。
物流分科会での主な検討対象は、以下のとおりだ。
- 山間部、海上等のうち、指定された空域の飛行による物流拠点間の輸送
- 無人地帯、有人機と同じ空域における目視外飛行
- 第三者上空における目視外飛行に係る要件について検討すべき論点を整理
目視外(及び第三者上空等)の飛行に係る要件では、離陸時や飛行中、着陸などに分類し、物流での利用に追加的に求められる要件の検討を行っている。
国土交通省 無人航空機の目視外及び第三者上空等での飛行に関する検討会 2017.10