民間においても、ドローンを活用した物流事業の合理化などにむけて、ガイドラインを策定している。
JUIDA(一般社団法人日本 UAS 産業振興協議会)は2017年12月22日、民間による日本初のドローン物流ガイドライン『JUIDA物流ガイドライン』(案)を公表した。
物流業界の人材不足が深刻化するなどの業界の現状を踏まえ、民間企業が主体となりドローンの指針を規定し、物流事業の合理化や事業への新規参入促進に向けた取り組みを進めている。
ガイドラインの主な内容は、「(1)ガイドライン策定の背景」、「(2)ガイドラインの目的」、「(3)ガイドラインの前提条件」、「(4)ガイドライン(案)」、「(5)ガイドラインの管理」の5章で構成されている。具体的なルールは、「(4)ガイドライン(案)」に「(2)飛行空路」、「(3)機体」、「(7)機体の登録」などの15項目が盛り込まれている。
政府では、2020年代には人口密度の高い都市でも安全な荷物配送の本格化を目指しており、民間企業によるさまざまな実証実験も行われている。
ローソンと楽天は2017年10月、東京電力の福島第一原発から30km圏内にある福島県南相馬市の「ローソン南相馬小高店」を拠点に、ドローンによる商品配送を連携させた試験的な取り組みを開始している。今回の取り組みでは、からあげなどの注文を受けた際に「楽天ドローン」の専用機で店舗から移動販売先へ配送する。
ドローンによるプラットフォームビジネスも始まろうとしている。NTTドコモは2月21日、ドローンを用いたサービスを提供するパートナー企業向けにドローン運用をトータルにサポートする「ドローンプラットフォーム docomo sky(ドコモ スカイ)」の開発を発表した。
本プラットフォームでは、あらかじめ設計した飛行ルートをドローンに設定することで、遠隔地から複数のドローンを自動運航させることが可能となる。また、飛行中のドローンや飛行空域に関する様々な情報を一元管理し、複数のドローンを安全に運航させることも可能という。

NTTドコモでは、2018年の商用化を目指し、向こう5年間で100億円の売上を目標している。
物流をはじめとした民間企業のドローンビジネスの加速を支援するのが、これまで取り上げてきたように、政府の「総合物流施策推進プログラム」や地域限定型 規制のサンドボックス制度の創設などの規制緩和に向けた取り組みだ。
ドローンを用いてサービスを提供するパートナー企業によるエコシステムが形成され、各分野において規制緩和が進み、電波などの技術的課題、さらには安全性や住民の合意形成などがクリアされていけば、公共や災害把握などのさまざまな活用が想定される。特に、人材不足が深刻な宅配などの物流分野での活用が広がり、社会から認知されるようになれば、ドローンビジネスの市場領域は広がりをみせるかもしれない。
- 林 雅之
- 国際大学GLOCOM客員研究員(NTTコミュニケーションズ勤務)。NTTコミュニケーションズで、事業計画、外資系企業や公共機関の営業、市場開発などの業務を担当。政府のクラウドおよび情報通信政策関連案件の担当を経て、2011年6月よりクラウドサービスの開発企画、マーケティング、広報・宣伝に従事。一般社団法人クラウド利用促進機構(CUPA) アドバイザー。著書多数。