この10年間、プロセッサの世界を支配してきたのはIntelだ。確かに、AMDも小規模なヒット製品をいくつか発表したが、劣勢を覆して真の進歩を成し遂げるには至っていない。
しかし、2017年には、そうした状況が「RYZEN」によって一変するかもしれない。
RYZENとは、AMDの「Zen」コアアーキテクチャをベースとする同社の次世代高性能デスクトッププロセッサの名称だ(以前は「Summit Ridge」という開発コード名で呼ばれていた)。RYZENチップは14ナノメートルアーキテクチャを用いて製造される。同チップを搭載する高性能デスクトップおよびノートPCは、2017年第1四半期より登場する見通しだ。
RYZENの何が特別なのだろうか。1クロックあたりに実行可能な命令数(IPC)が40%以上増加するとAMDが主張していることだ。
その根幹をなすのは、AMDが「SenseMI」と呼ぶテクノロジだ。SenseMI自体は5つの機能で構成されている。
- 「Pure Power」:ミリボルト、ミリワット、温度1度単位の精度を持つ100個以上の組み込みセンサが、最小限のエネルギー消費で最適な電圧、クロック周波数、動作モードを実現する。
- 「Precision Boost」:集積化センサーを監視し、クロックスピードを25MHzという小さな単位で毎秒最大1000回最適化するスマートロジック。
- 「Extended Frequency Range(XFR)」:システムが強力な冷却機構を感知すると、Precision Boostによって動作周波数を上げてパフォーマンスを向上させる。
- 「Neural Net Prediction」:過去の動作に基づいて、アプリケーションが採用するCPU内の命令実行系統を予測する人工知能ニューラルネットワーク。
- 「Smart Prefetch」:ソフトウェアの挙動を追跡して、アプリケーションのニーズを予測し、前もってデータを用意する高度な学習アルゴリズム。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。