レッドハットは、12月21日、OpenStackディストリビューションの最新バージョン「Red Hat OpenStack Platform 10」を発表した。
同製品では、システム全体のスケーラビリティが向上、インフラ管理もより容易になった。また、オーケストレーション関連の新機能が加えられており、ネットワーク性能とプラットフォームセキュリティも強化されている。さらに新しいソフトウェアライフサイクルに関するサービスが導入され、最大5年間のサポートがオプションで提供される。
Red Hat OpenStack Platform は、IaaSを提供するソリューションで、Red Hatが強化したOpenStackコミュニティコードと統合されている。また、ハイブリッドクラウド管理および監視プラットフォームである Red Hat CloudFormsも含まれている。ストレージ容量は、Red Hat Ceph Storageによって64TBが提供される。
Red Hat OpenStack Platform 10では、Red Hat OpenStack Platform directorを使ったサービスカスタマイズとアドミニストレーションロールの導入によってスケーラビリティの拡大を実現した。ユーザーは、自社のOpenStack環境をより詳細なレベルで制御できるようになり、サービスをデプロイする際に個々の組織のワークロード要件に適合させることができる。
また、GUIがより使いやすいものになり、インストールと管理の複雑さを軽減できるようになった。Cephを含む自動アップグレードおよびアップデート機能や、NetAppから提供される統合ドライバとRed Hat Ceph Storageを使用するManilaサービス経由のファイル共有デプロイオプションなど、新たに統合された複数の機能が提供される。
データ保証の強化では、大規模デプロイメント向けに改良された新しいセキュリティ関連の機能拡張が提供される。さらに、オプションのオブジェクトストレージ暗号化と使い捨てセキュリティトークンによってセキュリティ対策が強化された。
ワークロードの性能向上では、Open vSwitchの新しいデータ・プレーン・デベロップメント・キット(DPDK)コンポーネントと、シングル・ルートI/O 仮想化SR-IOV)を利用する。これにより、ベアメタルに匹敵するネットワーク性能が得られ、ネットワークルーティングがより柔軟かつ高速できるようになった。また、集中制御ルーティングや分散ルーティング(DVR)の選択が可能になった。
Red HatはいくつかのOpenStackコンポーネントに対して認定ハードウェアプラグインをサポートしているが、Red Hat OpenStack Platform 10では、自動化されたベアメタル構成に利用可能なハードウェアオプションのエコシステムを拡大するように設計されている。「Red Hat OpenStack Platform 10 ready-state」の最初の Red HatパートナーとしてDellが認定を受けており、今後さらに数社が認定される予定だ。
さらに、Red Hat OpenStack Platform 10では、同Platformのリリースに対する準備をより効率的に行えるよう、Dell、NEC、Rackspaceなどの主要パートナーに対する分散型継続的統合(distributed continuous integration、DCI)を導入している。このアプローチによって、パートナーは独自の形で統合されたクラウドシステムを使って何度も繰り返しテストを実施でき、従来よりも高い安定性と品質を備えたクラウドソリューションを顧客に提供できるようになる。
また同製品では、「デュアルサポートライフサイクルモデル」が導入されている。このモデルでは、3年間の製品ライフサイクルに加えて、オプションで2年間の延長ライフサイクル(ELS)サポートの購入が可能となる。また、新機能の利用を重視する場合は、ローリングアップグレードの使用によって 6カ月~1年ごとにRed HatOpenStack Platformの最新リリースを利用できるようになる。