「新たなデジタルビジネスモデルはソフトウェアで構築される必要があり」、ソフトウェアを理解できる人材が先頭に立って道を切り開いていく必要がある。
ITマネージャーは率先して仕事に取り組み、IT分野の競合がひしめく複雑な状況のなかをビジネスリーダーが適切に意思決定していくための手助けをするとともに、IoTを積極的に受け入れる必要がある。ITに長けた競合他社が企業とその顧客の間に、そして従業員との間にくさびを打ち込もうとしている。そんななか、企業のリーダーらは、進んで自社の変革に手をつける必要がある。
提供:Joe McKendrick
これは、Software AGの最高経営責任者(CEO)Karl-Heinz Streibich氏が、ローマで最近開催された同社のイベントで語った戒めの言葉だ。同氏は「新たなデジタルビジネスモデルはソフトウェアで構築される必要がある」と述べたうえで、「机上のものではなく、ハードウェア主体でもなく、ソフトウェアでなければならない」と述べた。
Streibich氏は、業績が最も好調な企業であっても、ソフトウェアの大きな影響下にあるということに疑いの余地はなく、それは自動車業界で起こっている事象に目を向けるとよく分かるはずだと語った。同氏は、「ソフトウェアはイノベーションの主な源泉となるだろう。ドイツの自動車業界に目を向けてほしい。『Mercedes-Benz S-Class』の変速機を分解してみると、大量の部品で構成されていることが分かるはずだ。自動車業界には100年の間に培ってきたエンジニアリングの歴史があるため、新興企業がこういった先行企業を打ち負かせるようになるまでに、あと100年はかかるだろう。しかし、ネットワーク化され、サービスが共有された新たな世界に登場してきた電気自動車やコネクテッドカーであれば、機械的な変速機は不要だ。このような自動車はソフトウェアで走行できるのだ」と説明した。
Streibich氏は、これがあらゆる業界に影響を及ぼしている、IoTによるデジタル破壊のほんの一例でしかないと付け加えた。そして同氏は、この新たなデジタル環境において成功を収めている企業が自社を「まずソフトウェア企業」として捉えていると説明した。自らをそのように捉えていない企業は今後の数年を乗り切れないだろう。
また同氏は、このような新たなモデルに適応するうえで、Uberのような破壊者になる必要はないとも述べた。むしろこれは、新たなデジタルイニシアティブを支えていくための、情報テクノロジの近代化と拡充に関する話であり、IT分野の幹部やマネージャー、プロフェッショナルの力を借り、新たな機能を実現するという意味を持つ話なのだ。Streibich氏は「デジタル化した企業は既にマイクロサービス指向のアーキテクチャを手にしている一方、デジタル化していない従来型の企業はいまだにサイロ化されたITアプリケーションを抱えている。こうしたアプリケーションは柔軟性やアジャイルさに欠けている悪夢のような存在だ」と説明した。