CA World

デジタル変革では競争優位性という考え方すら危ない

末岡洋子

2016-11-24 07:30

 米CA Technologiesは11月16日より、米ラスベガスで年次カンファレンス「CA World 2016」を開催した。17日の基調講演に登壇した同社最高経営責任者(CEO)Mike Gregoire氏は、デジタル時代に求められる企業像を「変化を続ける企業」とし、それを可能にするのがソフトウェアだと強調した。

Mike Gregoire氏
CA Technologies CEOのMike Gregoire氏

 デジタルトランスフォーメーション――ここ数年エンタープライズITの流行語だが、Gregoire氏はスピーチ中、いくつもの例を出した。「数年前までTeslaが日本、ドイツ、米国の自動車会社に対抗できるなどと誰も思っていなかった。現在Teslaは、Mercedes S-classとBMW 7-seriesを合わせた台数よりも多くを販売している」とGregoire氏は述べる。

 あるいは宅配ピザのDomino’s――Gregoire氏に言わせると「食品企業ではなく、技術企業」だ。同社は数年前からハイテク投資を進め、ビジネスモデルに技術を組み込んできた。現在、注文の50%がオンラインからで、音声で注文できるアプリ、ツイートやテキスト、絵文字でのオーダーも可能という。さらには宅配でも自動運転やドローンの実験を進めているとのことだ。成果も出ており、Gregoire氏によると2010年から毎年シェアを伸ばしているとのこと。株価は8年で50倍に、2016年だけで35%もアップしたとか。今後5年の成長率は16%を見込んでいるそうだ。

 BtoCでは、同社の顧客というスポーツアパレルのUnder Armourを紹介した。これまで変化が少なかったスポーツアパレル分野も、技術の取り込みが進んでいる。Under Armourは今年に入り初の3Dプリンタシューズを発売した。粉状のナイロンを幾層にも重ねて靴底を作り、これがレーザーの熱により固まり、通常の製造プロセスでは作れない格子状を作り出したモデルだ。結果として、わずか20分後に売り切れたとのことだ。「Under ArmourのCEOは、AppleやSamsungのような(これまでなら異業種の)企業により崩壊される可能性があると考えている」とGregoire氏は代弁した。

 このほか、BtoBではデジタルトランスフォーメーションの例でよく紹介される”インダストリアルインターネット”のGeneral Electoric(GE)、Boschも紹介した。Boschは主要アセンブリラインの効率化を図った結果、2012年以来20%改善したという。Gregoire氏によると、IoT、予測メンテナンスなどの技術を利用して、2020年までに10億ドルの売り上げ増、同程度のオペレーションコスト削減を図るそうだ。

 「アプリ経済へ向け、劇的なトランスフォーメーションが起こっている」とGregoire氏。「これまで業務を支援するサポートだったソフトウェアは、中心の”イネーブラー”に役割が変わった。全ての企業の原動力になっている。技術が売り上げを加速し、バリューをもたらす」(Gregoire)氏。

 これは第4次産業革命の始まりであり、ソフトウェアが主導することで、「物理、デジタル、生物的な空間の境が曖昧になる」と言う。そして、投資家Marc Andreessen氏(初期のブラウザの代表である「Netscape Navigator」の開発者でもある)の言葉である”ソフトウェアが世界を飲み込む”を引用した。これが、信じられないほど高速に進行していると言うのが、大きなメッセージだ。これをCAは支援し、加速する。

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