NTT ComがSAP向け基幹系クラウド--「コストを3割減に」

日川佳三

2017-02-06 20:26

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)は2月6日、業務システムを稼働させる用途のIaaS型クラウドサービス「Enterprise Cloud」を拡充し、サーバ共有型のクラウドサービスでありながらSAPのERP(統合業務ソフト)を動作させることを目的に、可用性を追求したメニューを2017年春から提供すると発表した。

 新メニューの特徴は、仮想サーバの管理や課金などを司るクラウド運用ソフトとして、Dell EMC配下のクラウド事業者である米Virtustreamの技術を採用したこと。サーバ/ストレージのハードウェアは、Dell EMCのコンバージド(垂直統合型)システム「Dell EMC VxBlock」を使う。

 Virtustreamのクラウド運用ソフトの特徴は、「Virtustream μVM」(マイクロVM)と呼ぶ、実際に利用した量をベースにCPU資源やメモリ資源などに課金する独自技術を備えること。「他の仕組みと比べてサービスの利用料を安くできる」(NTTコミュニケーションズで取締役クラウドサービス部長を務める森林正影氏)

左から、EMCジャパンで代表取締役社長を務める大塚俊彦氏、NTTコミュニケーションズで取締役クラウドサービス部長を務める森林正影氏、VirtustreamでCOOを務めるSimon Walsh氏
左から、EMCジャパンで代表取締役社長を務める大塚俊彦氏、NTTコミュニケーションズで取締役クラウドサービス部長を務める森林正影氏、VirtustreamでCOOを務めるSimon Walsh氏

 「経験上、サーバ専有型の環境からVirtustreamに移行したユーザーは、コストを30%ほど削減できている」――。

 VirtustreamでCOOを務めるSimon Walsh氏は、Virtustreamのコストメリットをこう説明する。「DR(災害時復旧)サイトも安価だ。DRのために待機系のインスタンスを用意しておく必要がない。DRが必要になって初めてDRサービスを課金する」(Simon氏)

基幹系クラウドの価格競争力を高める

 NTT Comは従来、Enterprise Cloudにおける基幹システム向けのメニューとして、ベアメタルサーバやハイパーバイザ環境などの専有型サーバを提供する「Hosted Private Cloud」を用意してきた。今回追加した新メニューにより、可用性を追求した基幹システム向けのクラウドサービスの選択肢が増えた(図1)。

Enterprise Cloudの基幹システム向けメニューを拡充した。ベアメタル/ハイパーバイザ環境を専有型で提供するメニューに加え、SAP向けにVirtustreamのソフトを用いたサーバ共有型のメニューを用意した
Enterprise Cloudの基幹システム向けメニューを拡充した。ベアメタル/ハイパーバイザ環境を専有型で提供するメニューに加え、SAP向けにVirtustreamのソフトを用いたサーバ共有型のメニューを用意した

 NTTコミュニケーションズの森林氏は「大型のSAP案件では、システム環境を個別に構築して提供することが多かったので、価格競争力がなく、受注できずに競合他社に負けてしまうことがあった」と、Virtustreamを採用した意義を説明する。「VirtustreamはSAP向けのクラウド環境として欧米で成功している。競争力の高い価格で提供できる」(森林氏)

 今回の新メニューには、米VirtustreamとEMCジャパンも投資している。NTTコミュニケーションズのブランドでのサービス提供に加えて、Virtustreamブランドでも同等のサービスを提供する。「Virtustreamの日本における立ち上げの意味もある。グローバルサービスの日本リージョンをVirtustreamが提供する」(EMCジャパン代表取締役社長の大塚俊彦氏)

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