電力網の遮断や病院の封鎖、企業からの略取が可能なほどサイバー攻撃が高度化したことから、オンラインセキュリティが国防上の大きな懸念材料になった。だが、国連機関である国際電気通信連合(ITU)が現地時間7月5日に発表した調査から、世界有数の大国の間でセキュリティ対策に大きな差があることが分かった。
「Global Cybersecurity Index」(GCI)は、法、技術、組織、能力構築、連携という5つの要素に焦点を絞って、134カ国の防衛能力を検討し、サイバーセキュリティへの「取り組みが最も進んでいる」国など、いくつかの基準で各国を格付けした。
シンガポールは、2位の米国と僅差で、「取り組みが最も進んでいる」国として最高評価を受けた。「法」「組織」「能力構築」の3要素では米国がシンガポールを上回ったが、「連携」ではシンガポールのほうが得点が高かった。
サイバーセキュリティへの取り組みで上位10カ国に入ったその他の国は順に、マレーシア、オマーン、エストニア、モーリシャス、オーストラリア、グルジア、フランス、カナダ、ロシアだ。グルジアとフランスは同点で8位だった(日本は11位)。
この調査から、経済力に大きな差があるにもかかわらず、マレーシアやオマーンのような、フランスやカナダなどよりも経済力の弱い国が、サイバーセキュリティが強力なことが分かった。
「収集したデータにより、発展途上国は、十分な訓練を受けたサイバーセキュリティの専門家や、法執行のためのサイバーセキュリティに関する徹底した評価や必要な教育、司法部門および立法部門における継続した取り組みが不足していることが明らかになった」
調査に回答した国の半数が、サイバーセキュリティ戦略を有していなかった。半数以上の国が法執行者に対しサイバーセキュリティの訓練を行っていない。ITUはすべての国に対し、サイバーセキュリティの戦略作りは「非常に重要な第一歩」であると呼びかけている。
国連安全保障理事会の常任理事5カ国の間にも、サイバーセキュリティに大きな差がある。米国は2位、フランスは8位、ロシアは10位、英国は12位、中国は32位となった。
この調査では、サイバーセキュリティの国際的な基準がないことが問題とみられると指摘している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。