英国議会のシステムに対するサイバー攻撃は、当初考えられたような国家による攻撃ではないとの見方が出ている。
6月に発生した攻撃では、Microsoftのプラットフォームにホスティングされていた議会ネットワークユーザー全体の最大でも約1%に相当する90のアカウントが不正アクセスを受けた可能性がある。議会の広報担当者はその際、これらのアカウントが不正アクセスを受けたのは、「Parliamentary Digital Service(PDS)発行のガイダンスに準拠していない脆弱なパスワードを使用していたため」だと述べていた。
Reutersが現地時間7月6日、捜査関係者による情報として報じたところによると、ハッカーらがアクセスできたのは、「単純で簡単に発見できるパスワード」を使っていた議員のアカウントだけだったという。
英サリー大学のAlan Woodward教授はツイートで、この攻撃は「未熟なハッカーもどきの連中がふざけてやっている」可能性が高いと述べ、原始的なハッキング技術を使う「スクリプトキディ」(他人が作成したコードを使って、興味本位で他人に迷惑をかけるハッカー)に言及した。そうした技術としては、これまでに盗まれたパスワードのリストから総当たり方式でログインを試みる方法などがある。
攻撃を受けた際、議会のすべてのシステムまたはアカウントが2要素認証を利用していたわけではなかった。
ある議会関係者は、ユーザー名とパスワードだけを使って、電子メールを含む議会システムにログインできたと説明した。
PDSのディレクターを務めるRob Grieg氏はブログ記事で、攻撃があった時点で2要素認証を利用していなかったために、議会担当者はネットワークへの侵入を試みる攻撃を1時間に4万8000回超にわたって撃退しなければならなかったと述べた。
Grieg氏によると、今回の攻撃で「一部の電子メールデータが盗まれた疑いがある」という。
「われわれは議会関連のシステムを一度もオフラインにすることなく、目的を果たした。対応が悪ければ、すべてが失われていただろう」(Grieg氏)

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この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。