さまざまな業界で企業がワークロードをクラウドに移行させるにあたって、ハイブリッドソリューションを採用することが多い。だが、エンタープライズにおいて「ハイブリッドクラウド」という言葉が意味するものは、人によって必ずしも同じではないようだ。
クラウドインフラ企業Stratoscaleが行なった最新の調査から、最高情報責任者(CIO)などCレベルの幹部とIT専門家らとの間でハイブリッドクラウドの定義が異なることがわかった。「ハイブリッドクラウドは何を意味するか?」という質問に対し、44%の幹部は「さまざまなワークロードがさまざまな環境にある状態」と回答した。33%は「ワークロードをプライベートクラウドとパブリッククラウドの間で動かすことができること」と回答した。一方、このいずれかの回答をしたIT専門家の割合はそれぞれ39%、38%だった。
自社のクラウド採用レベルが増すにつれて、幹部の「ハイブリッドクラウド」の認識が変化することもわかった。クラウドの採用レベルが20%以下のエンタープライズでは、ハイブリッドを「ワークロードをプライベートクラウドとパブリッククラウドの間で動かすことができること」と定義する人の割合が最も多かったが、20%を上回る企業では、「ワークロードがさまざまな環境にある状態」と認識が移るようだ。
この調査は637人の技術担当を対象に、Stratoscaleが6月に行ったもの。回答者は、IT専門家からCレベルの幹部までにおよび、複数の業種にわたるさまざまな規模の(従業員数100~1万人)企業に所属する。
エンタープライズの約15%が、パブリッククラウドへの移行を開始していないことも明らかになった。大半の企業が動き出しているが、多くの場合ペースが遅いようだ。パブリッククラウドに移行させた比率は自社のワークロードの20%以下という企業が65%以上を占め、従業員数が1万人の企業では、この比率は70%に増える。
プライベートクラウドを使う理由として、最も多く挙がったのは「セキュリティ」(幹部の69%、IT専門家の61%)だった。さらに回答者の57%が、アプリケーションやデータが規制の対象となっているためパブリッククラウドを利用できないとした。
Stratoscaleの最高経営責任者(CEO)Ariel Maislos氏は、「われわれの調査結果は、顧客から耳にする声を裏付けている。多くがパブリッククラウドへの移行に向けて動き始めているが、非常に多数の企業が依然として、主にセキュリティが理由でミッションクリティカルなワークロードと機密データをプライベートソリューションで動かしている」と述べている。「ハイブリッドクラウドモデルが、規模に関係なく、ほとんどの企業の短期的、長期的な未来のものとなるのは明らかだ」(Maislos氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。