アズジェントとイスラエルのDEEP INSTINCTは9月13日、人工知能(AI)技術を用いたエンドポイント向けマルウェア対策製品を11月から販売すると発表した。DEEP INSTINCTはマシンラーニング(機械学習)よりもディープラーニング(深層学習)による検知が有利だと主張する。
エンドポイント向けのマルウェア対策製品では、AI技術を利用した“次世代型”をうたうベンダーの参入が相次ぐ。新種マルウェアが大量に出現する現状から、定義ファイルなどを用いた従来型の検知手法では迅速な対応が難しくなったことが背景にある。AI型のマルウェア対策は、マルウェアの特徴を学習したAIのアルゴリズムを使って、マルウェアと推定されるファイルやコンピュータ上での動作などを検知し、ブロックする。
DEEP INSTINCT 共同創業者兼CEOのGuy Caspi氏
同日の記者会見でDEEP INSTINCT 共同創業者兼最高経営責任者(CEO)のGuy Caspi氏は、同社の製品が未知のマルウェア防御に特化し、この点において「機械学習よりも深層学習によるアプローチの方が有利である」と語った。
AI型マルウェア対策の多くは機械学習を採用しており、膨大な量のマルウェアデータから学習した特徴に照らしてマルウェアを推定する。Deep Instinctの場合は、ニューラルネットワークを用いた深層学習を採用することで、さらに多くの量のマルウェアデータを高度に分析でき、機械学習よりも高い精度でマルウェアを推定できるという。
DEEP INSTINCTは、AIのマルウェア検出アルゴリズムに必要な学習データ量が増えるほど深層学習が有利になると主張する
Caspi氏は、同社にイスラエルの諜報機関や軍出身者が多数在籍し、防衛と攻撃に関する知見に強みがあると述べ、深層学習技術自体の研究開発にも積極的に関与しているとした。
一方でマルウェアを“推定”して検知、防御するため、少なからず誤検知や過剰検知のリスクも伴う。Caspi氏は、同社が未知のマルウェアに特化しているため、既知のマルウェア対策などについては従来型のセキュリティ製品を推奨する。AI型と従来型の併用で誤検知などのリスクに対処しつつ、未知のマルウェア対策を強化できると説明している。
アズジェント 代表取締役社長の杉本隆洋氏は、「従来型のセキュリティ製品と共存できる点でDEEP INSTINCTは非常にイノベーティブな製品。未知の脅威に対する検知と防御で効果を発揮できる」と話した。
アズジェントは、11月にDEEP INSTINCTの日本語版製品を発売する予定。販売価格は端末100台の場合で1台あたり年間8500円から。製品は端末用のエージェント(Windows/Android/iOSに対応。2018年以降にMacにも対応予定)と管理サーバ用のソフトウェア(Linux用)で構成され、管理サーバはオンプレミスでもIaaSなどでも運用できるという。
開発中のDEEP INSTINCT日本語版エージェントにおけるデモ