AWSとセールスフォースがコンタクトセンター分野での協業を日本でも発表

怒賀新也 (編集部)

2017-09-19 15:01

 アマゾン ウェブ サービスジャパン(AWS)とセールスフォース・ドットコム(SFDC)は9月19日、都内で記者発表会を開催し、クラウドコンタクトセンター分野において、AWSの「Amazon Connect」とSFDCの「Service Cloud Einstein」を連携させると発表した。利用企業は、ウェブ上の設定で手軽にコンタクトセンター機能を構築できる。今回の発表は3月28日に米国で公表した両社の提携に基づくもの。

 Amazon Connectは、クラウドベースのコンタクトセンターソリューションで、スキルベースのルーティングや通話の録音、内容のリアルタイム解析などの機能がある。

 ユーザーは、「これまで構築に数カ月かかっていたような」システムを、セルフサービス型で数ステップの手続きにより、数分で構築できるとしている。

 今回、SFDCと連携することにより、コールセンター機能に、SFDCのCRMなどが持つ営業やマーケティングなどさまざまな部門を横断したデータを統合できる。

 また、現場でコールを受けるエージェントは、サービスについての問題点を解決するために必要となる情報に直接アクセスすることで、顧客の要求により正確に対応できるようになる。

 Amazon Connectの特徴の1つは、システムに電話(コール)が入った際に、それをトリガーにして「AWS Lambda」経由で顧客データベースやビジネスインテリジェンスシステムに情報を参照しにいくこと。

 サーバレスアーキテクチャの利点を生かし、Lambdaを常時立ち上げておく必要がないため、ライセンスコストを抑えられる。(お詫びと訂正:初出時、Lambdaを常時起動できると記述しておりましたが、Amazon Connectの設定では常時起動できないのが事実でした。お詫びして訂正いたします)

 また、トーン信号やプッシュ信号を指す「DTMF(Dual-Tone Multi-Frequency)」を使ったコンタクトフローの分岐、音声認識機能である「Amazon Lex」を用いた顧客対応もできるなど、動的なコンタクトフローの実現を目指す。

 今回、AWSは、Salesforceと連携するAmazon Connectのコンタクトセンターを構築しやすくする「Amazon Connect CTI Adapter」を開発し、提供する。Salesforce AppExchangeの英語版からインストール可能。日本サイトでも近日公開する予定だ。

 発表会の後半には、両社が連携したコンタクトセンターを、ウェブ上の設定でその場で構築し、表示された電話番号に電話を掛けるよう記者に呼び掛けるという演出もあった。サービス利用料は、Amazon Connectが1分あたり0.018ドル、電話料金は、インバウンドコールが日本直通ダイヤルイン(050番号)が0.0056ドル、フリーダイヤル(0800)が0.2114ドル、アウトバウンドコールは日本あての場合に0.1203ドル。

 社内ヘルプデスクを構築した想定での試算例では、着信数が月900件、1件当たり平均通話時間が4分、発信数が月100件、1件あたりの平均通話時間が4分とした場合に、月額150米ドル(約1万6600円)だとしている。なお、サービス利用開始から12カ月有効な無料利用枠を設定している。

 AWSにとって、SFDCと同様のエコシステムとしての取り組みとして、Zendesk、ZOHO、freshdesk、CRMNEXT、Tableau、Calabrio、Twillio、Pentaho、Pindrop、VoiceBase、Paxataなどの企業を挙げている。

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