矢野経済研究所は、国内民間企業のIT投資実態と今後の動向に関する調査結果を発表した。
これによると、2017年度の国内民間企業のハード・ソフト・サービス含むIT市場規模は、前年度比2.0%増の12兆1170億円と予測される。また4〜5 年前と比較し、新製品/サービスの開発などにIT活用の割合が増えたと回答した企業は4割を超えた。
国内民間IT市場規模推移と予測(2013〜2016年度は経済産業省および総務省の調査を基に矢野経済研究所が推計したもの)
新商品/サービスの開発に向けたITの関与割合の変化(4〜5年程度前との比較)
同調査は2017年7〜10月にかけて、国内の企業、公的団体・機関などを対象に行った。調査方法は、郵送によるアンケートおよび文献調査を併用している。
IT活用の割合については、法人508社から得られたアンケート結果をベースに分析。4〜5年程度前と比較して、「大きく増えた」「少し増えた」との回答の合計が40.6%となった。これについて同研究所は、業種別にみると、特に「加工組立製造業」や「金融業」でこの傾向が顕著になっていることから、「インダストリー4.0」やFinTechの影響があるとしている。
市場概況については、規模が拡大基調にあるものの、金融機関を中心とした大型の基幹システム更新・開発案件が2016年度にピークアウトしたことを受け、2017年度以降はそのスピードが緩やかになると予測している。2017年度以降のIT投資は、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)分野が中心となり、大手ITベンダーのシステムインテグレーションビジネスは、これらの案件によって堅調に推移していくと見込む。
また、セキュリティの強化やワークスタイル変革に関する取り組みや、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けたシステム開発案件、2020年1月に予定されるWindows7 のサポート終了なども、市場の成長を後押しするとしている。
一方、2019年10月に予定されている消費増税による投資計画の前倒しや、投資金額縮小の可能性には留意が必要としている。