矢野経済研究所は、7月18日、国内のIoT型センサシステム市場の調査結果を発表した。これによると、2016年度のIoT型センサシステム市場は109.6 万システムで前年度比6.7%増加していることが分かった。
同調査は、2017年3月~6月の期間で実施された。調査対象は、IT事業者/SIer、通信事業者(キャリア)、デバイスメーカー、公的研究機関、ユーザ企業など。
この調査での「IoT型センサーシステム」とは、クラウドタイプのセンサネットワークシステムを指す。親機(中継器)と子機(センサノード)で構成される後付けタイプのセンサネットワークシステムや組込みタイプ(生産設備や重機・建機、自販機、車両などに予めセンサが組み込まれたタイプ)のセンサシステムも対象としている。通信回線は、無線(ワイヤレス)だけでなく、有線も利用されている。ただし、センサとデータロガーだけで構成されスタンドアロンで利用されている装置や、スマートフォン等のスマートデバイス、RFID(Radio FrequencyIdentification)システムは含まない。
2016年度の同市場について、同研究所では、M2MM(Machine-to-Machine:機器間通信)を通信回線に利用したセンサシステムの導入が好調で、MVNO(Mobile Virtual NetworkOperator:仮想移動体通信事業者)の事業拡大によるアプリケーションの多様化も拡大要因としている。
国内IoT型センサシステム市場予測(折れ線は前年度比)
また、分野別に見ると、セキュリティ関連が46.0%、自動車関連は 36.5%、エネルギー関連が16.1%と、3 分野で98.6%を占めることが分かった。
国内IoT型センーシステム分野別構成比(2016年度)
2017年度以降について、同研究所では、今後も伸長が続き、2020年度に200万システムを突破し、2021年度には214万2000システムになると予測している。具体的には、作業者向け健康モニタリングなどヘルスケア関連や、全国の都市ガス各社がスマートガスメーターの導入を検討していることから、ガス業界でのセンサシステム導入への期待も大きいとしている。
将来的に成長が期待できる分野としては、工場・製造関連が挙げられる。この分野では、設備・機器のエネルギー監視、保全・メンテナンス、品質管理といった業務でのIoT型センサシステムの活用が見込まれるという。中・長期的には、CBM(Condition Based Maintenance:状態基準保全)や予防保全、故障予知といったソリューションとしての普及が期待される。