矢野経済研究所は、4月10日、国内M2M市場に関する調査結果を発表した。2021年度の同市場規模(事業者売上高ベース)は2000億円になると予測。2015年度は堅調に推移し、1610億円、2016年度も前年度同様に前年度比106.2%の1710億円になる見込みという。
M2M(Machine to Machine:機器間通信)とは、人が介在せずに、主に携帯電話/PHS 通信規格に準じた通信モジュールを内蔵した機器・デバイス間で情報のやり取りをする仕組みを指す。
同調査は、国内外のIT事業者、SIer、通信事業者(キャリア)、MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)、プラットフォームベンダー、ユーザー企業などを対象に、2016年12月〜2017年3月の期間で実施された。市場規模については、M2Mを実現するためのデバイスやモジュール、システム構築やアプリケーション開発、回線利用料、M2M/IoT プラットフォーム利用料、データ解析・アナリティクス等のソリューション、運用・保守サービスなどを対象として算出している。
国内M2M市場規模予測
2017年度以降については、引き続きスマートメーター/HEMSの普及などエネルギー関連がけん引役となるほか、工場設備や生産機械での遠隔モニタリングなどの設備・機器監視や決済関連の更新需要などが発生する見込みの流通・物流関連の需要拡大が続く。同研究所では、IoTプラットフォームを利用したサービスやビジネスの利用も始まっていることから、今後IoTビジネス関連で同市場が大きく伸長するとしている。
スマートメーター/HEMSの普及に連動して、M2M回線数が増加している。2015年度末の国内M2M累計回線数1690万回線を分野別にみると、エネルギー関連が480万回線(構成比 28.4%)と最も多かった。次いで設備・機器監視(同22.5%)、流通・物流関連(同20.1%)、自動車関連(同17.2%)、その他(同11.8%)となっている。
利用分野別の国内M2M累計回線数(2015年度末)
また、その他の分野では、設備・機器監視分野で自動販売機やエレベータ、重機・建機など従来からのM2Mが安定需要を維持しており、ここ1〜2年で工場設備や生産機械での遠隔モニタリング向けや保全・メンテナンス向け需要が拡大している。
流通・物流関連分野では、自動販売機での電子マネー決済やPOS レジ、駐車場等各種精算機などでの新規および更新需要など決済関連、店舗や倉庫での温度管理等の省エネ対応/エネルギー管理、車両運行管理やトラッキングなどで利用が進んでいる。
自動車関連では、テレマティクス/コネクテッドカーや車両整備など、カーシェアリング関連(車載モジュールとデータセンター間通信など)、クラウドタイプのネットワーク型デジタルタコグラフなどの位置情報関連で利用が拡大している。
また、環境計測、インフラ監視、防災監視、ホームセキュリティ、ヘルスケアサービス(健康モニタリング)、ペットや高齢者等の各種見守りサービスなどでのM2M活用が進んでいるという。