マイクロサービス戦略、成功のポイント--「YaaS」のSAP Hybrisに聞く - (page 2)

末岡洋子

2018-02-02 07:30

ーーマイクロサービスの相互運用性はどうか?

 Charles Nicholls氏 SAP Cloud Platformがバックオフィスにあり、AWSをフロントオフィスで利用している場合、YaaSはこの2つの世界の橋渡しができる。

 目標はオープンインターフェイスで、好きな言語を使って開発して任意のクラウドに実装し、どこからでもサービスをコンシュームできるようにすること。競合のプラットフォームも含まれる。必要なサービスを全てSAP Hybrisがそろえることは不可能であり、このようなオープン性はマイクロサービスでは不可欠だ。

 プラットフォームではAmazon、Googleなどと協業している。マイクロサービスはどのベンダーもオープン戦略をとっており、SAPは2017年秋にCloud Native Computing Foundationに参加した。これは、SAPの今後の方向性を示唆していると言える。


ーー開発者のスキルはどう変化する必要がある?

 企業はどこも、人材という点で数と質の両方で課題を抱えている。

 マイクロサービスは、Node.jsが使えればすぐに開発をスタートできる。これまでのように高い専門性が要求されなくなっている。スキルを変換する必要があるとは思わないが、マイクロサービスは大きなチャンスになるーー活用することで、デジタルトランスフォーメーションチームを構築し、アジャイルになることができるからだ。

 企業の多くが、システム・オブ・レコードを管理するチームと、アジャイルな部分を受け持つチームとに分かれている。後者のアジャイルレイヤは疎結合アプローチをもつアジリティレイヤーを構築し、実験にフォーカスしたチームで、スキルレベルは比較的低い。これまでとは違うスキルセットだが、原則は同じで親和性もある。

 コンポーネント化などは特殊かもしれないが、マイクロサービスは革命というよりも進化だ。再利用可能なサービスというコンセプトは、新しいものではない。以前は”サービス主導アーキテクチャ”があり、考え方としては進化したに過ぎない。

 それぞれの技術が得意とするプロセスやタスクが異なるため、企業の大規模なシステムでは、サービス主導とマイクロサービスを用いたハイブリッドアーキテクチャが一般的になる。

ーー最優先事項は?日本市場での提供は?

 YaaSは早期段階ではコミュニティがサポートし、明確な契約がない形で利用されていた。最優先の課題は、YaaSの技術を大企業が容易に利用できるようにすることだ。これを実現するにあたって、技術モデル、それにサポートや契約など商用モデルの両方で取り組んでいる。

 日本でも顧客、パートナーからの関心は高く、具体的な時期は言えないが、提供に向けた計画を進めている段階だ。

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