ーーマイクロサービスの相互運用性はどうか?
Charles Nicholls氏 SAP Cloud Platformがバックオフィスにあり、AWSをフロントオフィスで利用している場合、YaaSはこの2つの世界の橋渡しができる。
目標はオープンインターフェイスで、好きな言語を使って開発して任意のクラウドに実装し、どこからでもサービスをコンシュームできるようにすること。競合のプラットフォームも含まれる。必要なサービスを全てSAP Hybrisがそろえることは不可能であり、このようなオープン性はマイクロサービスでは不可欠だ。
プラットフォームではAmazon、Googleなどと協業している。マイクロサービスはどのベンダーもオープン戦略をとっており、SAPは2017年秋にCloud Native Computing Foundationに参加した。これは、SAPの今後の方向性を示唆していると言える。
ーー開発者のスキルはどう変化する必要がある?
企業はどこも、人材という点で数と質の両方で課題を抱えている。
マイクロサービスは、Node.jsが使えればすぐに開発をスタートできる。これまでのように高い専門性が要求されなくなっている。スキルを変換する必要があるとは思わないが、マイクロサービスは大きなチャンスになるーー活用することで、デジタルトランスフォーメーションチームを構築し、アジャイルになることができるからだ。
企業の多くが、システム・オブ・レコードを管理するチームと、アジャイルな部分を受け持つチームとに分かれている。後者のアジャイルレイヤは疎結合アプローチをもつアジリティレイヤーを構築し、実験にフォーカスしたチームで、スキルレベルは比較的低い。これまでとは違うスキルセットだが、原則は同じで親和性もある。
コンポーネント化などは特殊かもしれないが、マイクロサービスは革命というよりも進化だ。再利用可能なサービスというコンセプトは、新しいものではない。以前は”サービス主導アーキテクチャ”があり、考え方としては進化したに過ぎない。
それぞれの技術が得意とするプロセスやタスクが異なるため、企業の大規模なシステムでは、サービス主導とマイクロサービスを用いたハイブリッドアーキテクチャが一般的になる。
ーー最優先事項は?日本市場での提供は?
YaaSは早期段階ではコミュニティがサポートし、明確な契約がない形で利用されていた。最優先の課題は、YaaSの技術を大企業が容易に利用できるようにすることだ。これを実現するにあたって、技術モデル、それにサポートや契約など商用モデルの両方で取り組んでいる。
日本でも顧客、パートナーからの関心は高く、具体的な時期は言えないが、提供に向けた計画を進めている段階だ。