公的予算はオープンなコードに--バルセロナ市がオープンソースへの移行計画

Liam Tung (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2018年01月20日 06時30分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 スペインのバルセロナ市は、特定企業のクローズドなソフトウェアを排除し、すべてオープンソースで置き換える新たな計画に取り組むことを決めた。

バルセロナ
バルセロナ
iStock

 その最初のステップでは、「Outlook」や「Exchange Server」などのWindowsでしか動作しない重要アプリケーションが対象になる(これらは「Open-Xchange」で置き換えられるという)。将来的には「Microsoft Office」は「LibreOffice」に置き換えられる可能性が高く、「Internet Explorer」の代わりには「Firefox」が利用されるようになるかもしれない。

 2019年までは、大半のPCで引き続きWindowsが使われるものの、最終的には「Ubuntu」やほかのLinuxディストリビューションで置き換えられる予定で、現在は1000台前後のマシンでテストが進められている。

 最終的な目標は、バルセロナ市の「テクノロジに関する完全な主権」を確保することだ。

 バルセロナ市のテクノロジおよびデジタル変革担当コミッショナーFrancesca Bria氏は、2017年10月にデジタル変革計画を発表した。この計画は、提供するオンラインサービスを改善することで、同市のテクノロジを強化し、都市技術やスマートシティプロジェクトを支え、オープンデータ化を促進することを目指している。

 Bria氏によれば、同市は2019年春を期末とする会計年度のソフトウェア予算の70%をオープンソースに投じる計画だという。

 同氏は「大手IT企業であるMicrosoftの存在感は、今年度の終わりまでに徐々に減少していくだろう」と述べている。

 デジタル変革計画には7200万ユーロ(約98億円)の予算がついており、その約半分がオープンソースソフトウェアの開発に費やされる予定だ。

 同市は2017年12月に、このプログラムのために新たに65人の開発者を雇用すると発表している。計画には、市が実施するIT事業の入札に地元企業が参加するためのポータルサイトの構築も含まれている。また将来的には、市議会にICTサービスを提供する部門であるMunicipal Institute of Computingの職員を300人に増員する計画だという。

 同市はオープンソースソフトウェアに対する投資の成果をほかの組織と共有したいと考えており、コードをGitHubで公開する。

 またバルセロナ市は、新たなICTサービス調達ガイドラインを導入した。今後は、サービスを契約する際には、価格だけではなく、オープンデータに関するポリシーや、フリーソフトウェアおよびオープンソフトウェアのサポート状況、契約が小規模な地元企業に対応しているかなどの要素についても評価する。

 Bria氏はEl Paisに対して、公費は地元のエコシステムに対してオープンで、再利用可能なシステムに投資されなければならないと語っている。同氏はインタビューで、バルセロナ市はFree Software Foundation Europeが始めた「Public Money, Public Code」キャンペーン(公的資金は公開コードへ投資すべきだと主張する活動)に参加する最初の自治体だと指摘した。

 また同氏はTwitterでも、フリーソフトウェアおよびオープンソースソフトウェアへの移行は「調達の仕組みを変え、大規模で倒産する恐れのない多国籍企業ではなく、地元のオープンソース起業家に有利な形で公的予算を投じるためのものだ」と述べている。

 ドイツのミュンヘン市も、2003年にオープンソースソフトウェアへの大規模な移行を実施して、WindowsをLinuxに切り換えたが、方針を転換し、2020年までに2万9000台のPCにWindows 10を再導入する予定だ

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んだ方に

連載

CIO
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft WPC
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]