海外コメンタリー

AIアプリケーション構築の極意は人とプロセスにあり - (page 3)

Tony Baer (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 村上雅章 野崎裕子

2018-03-29 06:30

 次は、モデルをどのように訓練するのかを決定しなければならない。教師を置く(前提を設定する要員を割り当てる)べきだろうか、あるいは教師なしにする(学習対象の選別と発見を機械に任せる)べきだろうか、それとも折衷案を採用するべきだろうか?また、モデルが十分訓練されたと判断する基準は何だろうか?

 アジリティは重要だ。チームはフェイルファーストの実践に向けて準備を整えておかなければならない。データサイエンスとAIはいずれも、仮説を定常的に検証する行為なのだ。MLの反復という性質により、モデルは常に評価、比較される必要がある。ノイズや異常値を示すイベントによって、モデルの正当性が立証される、あるいはモデルが破棄されることになる。データセットの選択にも注意が必要だ。また、最適なアルゴリズムとデータセットを確定していたとしても、状況が変化する可能性もある。多様な情報源からのデータセットが常に予測可能であるとは限らないのだ。データの性質(ログファイルなど)はすぐに変化する。また、データのぶれによって、MLやDLのモデルが現実に合わなくなるという事態も容易に発生する。チームは、データとモデルの乖離(かいり)を検知し、対応するための手段を成文化しておくべきだ。

 モデルの開発から配備に向けた移行プロセスには、さまざまな注意が向けられてきている。プロセスの技術的な側面をガイドしてくれるさまざまなツールはあるが、モデルを業務に根付かせるという点についてはどうだろうか?意図を文書化しておく必要性について先述したのを覚えているだろうか?ここがそのポイントとなる。機械は前提を置いたり、パターンを洗い出したりするうえでの助けになるかもしれない。また、場合によっては意思決定そのものを支援してくれるかもしれない。しかし未来永劫(えいごう)、モデルの背後にある前提や意向と、モデルが進化してきた道筋と理由の文書化を求める新たな規制が生まれないとは限らない。

 この時点でAIと、MLやDLによって具現化されたものは新規性を持つはずだ。これらは光り輝く新しいテクノロジの産物なのだ。そして、最初に出てくる課題は、AIの運用への組み込みとなる。AIを業務に根付かせるには、適切な人々を配し、適切なプロセスを用意することが必要不可欠だ。また、反復可能性が大きな課題となる。しかし、次のステップは、自らの成功の被害者にならないようにすることだ。ここでアカウンタビリティが重要となる。AIが人とプロセスの問題になるのは、この部分だ。人工の知能から生み出される結果に対して、人間が最終的な説明責任を果たさなければならないのだ。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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