データの可視化やBI(ビジネスインテリジェンス)ソフトウェアを提供するDomoは、ビジネスの管理や最適化から予測分析に拡大し、「ビジネスのOS」としてビジネスユーザーのデータ武装を支えている。Domoが3月、米ユタ州ソルトレークシティで開催した「Domopalooza 2018」で、Domoの最高執行責任者(COO)および最高分析責任者(CAO)としてデータ分析を使いこなすMatt Belkin氏にデータ分析のトレンドなどについて話を聞いた。
ーーCOOとCAOを兼任している。CAOとして何をやっているのか?
DomoのCOO兼CAO、Matt Belkin氏
執行と分析は密接につながっており、COOとCAOの違いは曖昧になっている。分析なしにCOOの仕事はできないし、CAOとしてデータがあれば執行、企業の成長を加速することができる。
CAOとして、企業をデータ主導の企業にするのを支援している。これは社内だけではなく、顧客も含まれる。データを使ってビジネスをもっと効率よく動かすこと、スマートフォンなどのモバイル端末を使ってリアルタイムで対応することーーデジタルトランスフォーメーションと言われるものだが、世界中の企業が実現しようとしている。私の役割は、Domo内部の組織を客観的な意思決定ができる企業にすること、そしてここで学んだことを顧客、市場に伝えることになる。
例えば日本を訪問した際は、日本のDomo顧客にベストプラクティスを共有した。
ーーデジタルトランスフォーメーション実現にあたって、顧客はどこでつまづいている?
多くの企業で共通していることが2つある。
1つ目は、データは簡単に収集できる。だが、そこから洞察を得ることは難しい。洞察を得るためには、知識、それに必要なデータへのアクセスが必要だ。マーケッターが意思決定に必要なデータは、営業担当者が必要なデータとは異なる。
データと個々の意思決定との間に距離があるが、ここの距離を埋めるのは簡単ではなく、進化も遅い。Domoはここを大きな課題ととらえており、どうやって距離を埋めるかにフォーカスしている。意思決定をする人が必要なデータにすぐにアクセスすることを実現するための機能の開発を続けている。
2つ目は、どうやって適切な情報に基づいた意思決定ができるように、データを翻訳するか。ここも重要で、Domoはデータのビジュアル化を重視している。人間は視覚的な情報から迅速に学ぶ。どうやってデータをビジュアル化してわかりやすく見せるかは、Domoの製品において重要な差別化になっている。
もう一つ付け加えるなら、企業は変化が苦手だ。意思決定のほとんどが自分一人ではなくチーム単位となるが、チームで必要な洞察を得なければ、いい意思決定がなされない。ここで重要なのは、信頼できる情報源を1つだけにすることだ。これも以前から言われているが、簡単なことではない。いまだに人や部門によってデータセットが異なることが多く、より良い意思決定ができない。同じ目的地を目指していても、空路、陸路、海路と移動手段が異なれば到着時刻も異なる。チームの中で同じデータを共有せず、意思の疎通がなされていないと、変化が必要なのになかなか進まないことになる。
ーーDomoはデータのビジュアル化にフォーカスしており、顧客もDomoを選ぶ理由に挙げている。ビジュアル化におけるトレンドはあるか?
大きなトレンドは、ビジュアル化そのものというより、「何が起こったかとその理由」から、「何が起こるのか、それに対して何をすべきか」への移行の動きだ。これに合わせて、過去のデータのビジュアル化から予測へとシフトしている。これによりさらなる効率が得られるし、拡張性も得られる。自動化が進むだろう。
Domoにとっては「MR.ROBOTO」として進めている機械学習になる。われわれは予測を得たり、自動化を加速するのを支援する。